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おめでたい新年1月の食文化

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(絵:吉田たつちか)

お正月や1月の食文化って、いろいろありますよね。
・おせち料理
 お正月前になると「年神様」にお供えするためにおせち料理を作ります。これは平安時代の宮中で始まったとされ、庶民に広まったのは江戸時代中期からです。
 おせち料理には煮しめなど、日持ちするものが多いのですが、これは三が日は煮炊きなどせず、のんびり静かに暮らしましょうという風習があったからだそうで、冷蔵庫がない時代、日持ちする料理となると、煮しめや数の子、黒豆の煮物、田作り(小さなカタクチイワシの煮干しを炒って、醤油・砂糖・みりんを煮詰めたもの)などになってくるのですね。

・お屠蘇(おとそ)
 お屠蘇の語源は「邪気を払い(屠る)、心身を蘇(よみがえ)らせる」で、無病長寿を願って元旦に飲むお酒です。
 中身は日本酒、みりん、屠蘇散という生薬が、入っています。

・お雑煮(おぞうに)
 お雑煮も年神様にお供えした、餅などを煮て食べたことが始まりです。お雑煮は室町時代、武家の宴会で「酒のつまみ」として食べられるようになり、やがて中に入れているお餅がよく伸びることから、長寿を願ってお正月に食べる風習となりました。
 ちなみに、お雑煮の具や汁が地方によって違うのをご存じでしょうか?
 関東地方では、角餅に醤油ベースのすまし汁、具は鶏肉、かまぼこ、小松菜など。
 関西地方では、丸餅に白味噌仕立てで、具は里芋、大根、人参などとなっています。

・七草がゆ
 そして1月7日になると、七草がゆを食べます。これは、7種類の野菜を入れたおかゆですが、「邪気を払い万病を防ぐ」ものとして食べられてきました。現実的にはおせち料理など、正月のごちそうなどで、疲れた胃腸を癒し、青菜が不足しがちな冬場に栄養を補うという意味があります。もちろん七草にも意味があるのです。

■セリ:勝負に競り勝つという縁起かつぎと、胃を丈夫にする効果、解熱効果、利尿作用、整腸作用、食欲増進、血圧降下作用などの効果があると期待されています。
■ナズナ:別名「ぺんぺん草」、撫でてケガレをはらうという意味があり、解毒作用や利尿作用、止血作用、胃腸障害やむくみに効果があると期待されています。
■ゴギヨウ:別名「母子草」、仏様のお姿という意味があり、咳や痰、のどの痛みに対して効果があると期待されています。
■ハコべラ:「繁栄がはびこる」という意味があり、腹痛薬として使用されており、胃炎に効果があると期待されています。
■ホトケノザ:葉の形が仏様の台座(蓮座)のように見えるというのが名前の由来、食欲増進などの効果が期待されているのですが、同じ名前の別の草があり、野草を摘んで食べるとすると注意が必要です。
■スズナ:現代でいう蕪(カブ)のことで、「神を呼ぶ鈴」という意味があり、消化吸収、食べすぎの不快感に効果があると期待されています。
■スズシロ:現代でいう大根のことで、「汚れなき純白」を表し、消化不良や二日酔い、胃炎などの効果が期待されています。
 そして1月11日になると、鏡餅を割ってお正月に一区切りをつけます。「鏡開き」というのですが、鏡餅は切りません。木槌なので割るのです。
 これは武家が餅を切るというのは、切腹を連想させるからという縁起かつぎ。「割る」という表現も縁起が悪いので、末広がりを意味する「開く」を使って鏡開きというようになりました。
 割った餅は、雑煮にしたり、お汁粉にしたりして食べ、一年の健康を願ったのです。

(巨椋修(おぐらおさむ):食文化研究家)24-01

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