古代エジプトは、バイ菌や寄生虫の認識がない時代。おそらく、ナイル川で釣った魚をそのまま生で食べていたのだろう、有力市民のミイラなどは寄生虫だらけなんだとか。そう言えば、遠い古代のエジプトの話・・・と思うかもしれないが、日本の徳川家康も、人と話しているとき、突然、口から寄生虫が飛び出たというから、権力者と庶民の別なく、如何に体の中が寄生虫だらけだったかということだろう。
ただ、昭和真ん中生まれの私の世代は、既に、虫下しの薬などがあったから、おそらく、寄生虫を目の敵にしていた最後の世代ではないかと思うが、それでも、小学校低学年の頃は「蟯(ぎょう)虫検査」と言って、マッチ箱に汚物を入れて学校に持って行っていた。女子なんかは嫌だっただろうと思う。もっとも、さすがに、そういう状態は低学年までで、途中からもう少し簡略化された物になり、高学年の頃からはお尻でシールを挟むだけのタイプに変わったように記憶している。
ただ、私が学校時代の先生たちは大半が戦前生まれだったから、家康の時代と大差なかったようで、一度、大正生まれの先生が「サナダムシ」というモノについて話したのを覚えている。用を足そうと便器にまたがった時、お尻から平たい紐のような物がちょっと出ている。これがサナダムシで、割り箸をあてがうとくるっと巻き付くので、じわりじわりと巻き取っていくと、結構な塊になって出てくる。短気を起こして、一気に巻き取ってしまったりすると、そのまま、そこで切れて、二度と出てこない・・・と。
なぜそういう話を思い出したかと言うと、先日、たまたま、カマキリの尻を水に付ける映像を見ていたところ、真っ直ぐなシャープペンシルの芯みたいなものがカマキリの尻から出てくる・・・。今流行りのCGってやつかと思ってみていたら、CGではなく、「これはハリガネムシという寄生虫です」という説明があった。カマキリの肛門を水に漬けるとハリガネムシが産卵しようとして体内から出てくるのだとか。当然、カマキリの身長より長く、20cm以上あり、人間に寄生することはないそうだが、人の掌の上でくねくねと動いており、あまり気色の良いものではなかった。
さて、昔は肥料として糞尿を撒いていたから、作物に寄生虫の卵が付いていることもあり、今と違って、野菜を生で食べる人はほとんどいなかったが、今は時代がすっかり変わり、モデルの女性などは意図的に寄生虫の卵を飲むんだとか。そうすることで、栄養を寄生虫がとってくれるので、食事制限を気にしたりせずに腹いっぱい食べられ、いらなくなったら虫下しを飲んで体外に排出できる・・・。時代も変われば変わるものだなと。
(小説家 池田平太郎)2026-01
<池田平太郎の新著「女王陛下の十手持ち」amazonにて絶賛販売中!>




