近年地球の温暖化がが年々進み、年々冬も暖かくなっているとのこと。それでも天気図では、ちゃんと「冬の顔」を確認することができるようになってきました。
テレビなどの天気予報で天気図を見ると、西の大陸には「冬将軍」と呼ばれる高気圧(シベリア高気圧)があります。
冷暖房の効き目で体感したことがあると思いますが、暖かい空気は軽いので上に浮かび、冷たい空気は重いので沈みます。冬場の大陸の冷え込みはとても厳しいものです。冬場の大陸に溜まってできた冷たい空気の塊が、この高気圧なのです。また大陸は水蒸気量が少ないので、この空気の塊はとても乾燥しています。
さて。その高気圧が、大陸から日本列島にやってこようとするときにたちはだかるのが、日本海です。日本海には黒潮が流れ込んでいる影響などで、シベリア高気圧に比べるとずい分気温が高く湿っており、冷たく乾いた空気に熱と水蒸気を補給します。この状態は「湯気が立ち込める温泉浴場」にたとえられるほどです。日本海で立ちこめた湯気は、やがて雲を作ります。これが雲画像で見られる「筋状の雲」です。その雲が次々と日本海側の地域に押し寄せて、 しかし、そうやってできた雲も、日本列島を南北に連なる脊梁山脈を超えることができません。雲は日本海側で山を昇りながら、雨や雪として水蒸気を落としてしまったあと、乾いた空気となって一気に太平洋側へと駆け下ります。乾いた空気は湿った空気よりも気温が変化する割合が大きいので、その空気が太平洋側にやってくるころには、初めよりもずい分暖かくなっています。(これを「フェーン現象」といいます)
こういう理由で、日本の冬は、日本海側で悪天が多く、太平洋側では乾燥した晴天が多くなるのです。
(気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)2005.1