『日本』のお正月とは、もともとは神道的なもので、年の初めに各家庭に降りてくる年神様をお迎えする行事のことです。この年神様は五穀豊饒を約束してくれる神様でもあり、お正月の飾りつけもそれに関連したものになっています。
お正月といえば、大晦日に年越しそばを食べ、元旦に初宮参りをし正月三が日は、ゆっくりと過ごすもの。
では、外国では、どのようにお正月を過ごしているのでしょうか?
『アメリカ』の大晦日は、まるでお祭りです。花火をあげたりして元旦へのカウントダウンを派手に行います。そして元旦の日は、テレビでアメリカン・フットボールを見る、というのがスタンダードなお正月の過ごし方なのです。ちなみに休みは1月1日だけ。大晦日も休みではありません。
アメリカでは、11月の第4木曜日『Thanksgiving day』(感謝祭)が、日本のお正月みたいなもので、実家に帰ったり、親戚が集まったりと親睦を深めます。ターキーを食べることでも知られる感謝祭では、物凄いご馳走が並び、外食好きなアメリカ人も、この日は家で食事をとります。外食をしようとしても、お店は週末まで閉まっているので出来ません。そして、クリスマスでは、プレゼントを贈りあい、これが日本のお年玉のような役割をしています。
『中国』でも、1月1日は得に何事もなく過ぎていきます。それもそのはず、中国では新暦ではなく、旧暦のお正月『春節』を祝うからです。2月にある旧正月では、1週間ほどの休みをとり、爆竹を鳴らし、獅子舞が踊ったり、と大変賑やかなものになります。食卓には、年夜飯という、縁起のよい食材を使用した、8品以上もの特別な料理が並びます。お年玉を贈る習慣もあり、独身であれば、何歳であっても貰う権利があるのです。
他にも旧暦のお正月を祝う国として『タイ』があります。タイでは4月に旧正月を、独特なスタイルで祝います。寺院にお供え物の料理を持参し、お祈りをした後、バケツに水を入れて、みんなで水を掛け合うのです!これは、タイの国中で行われる『水まき祭り』で、熱帯性気候の国ならではの習慣と言えるでしょう。
不安定な状態が続くイラクなど『イスラム圏諸国』には、お正月はありません。イスラム暦第9番目の月『ラマダン』(断食月)明けに行われる盛大な祭りが、日本のお正月にあたるようなものでしょう。ラマダンとは、預言者マホメットが、天使ジブリール(ガブリエル)を通し、 最初の啓示を受けたとされている祝福の月で、イスラム教徒は日の出から日没まで、水までもを絶つ断食を行います。
このラマダン明けの3日間は『イード・ル・フィトル』と呼ばれる断食明けの盛大なお祭りが行われ、親戚や知人らが集まり豪華な食事をしたり、水タバコを呑んだり、プレゼントを贈りあったりします。街中煌びやかにライトアップされ、アッラーの神の教えにしたがって断食をなしとげたことを祝うのです。
(コラムニスト JULIE/絵:吉田たつちか)2005.1