夏が来るたびに、夏バテになるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。何かと疲れやすいこの時期には、赤身魚が役にたちます。
魚は、身の色によって赤身魚と白身魚に大別されることはよくご存知だと思いますが、なぜそのような差があるのでしょうか。それは、ズバリ筋肉に質的な違いがあるからです。筋肉は、働き
の違う2種類の筋肉があり、長距離走のような持続運動に適した赤筋(遅筋)と短距離走などのように瞬発的な力を発揮するときに使用される白筋(速筋)に分かれます。マグロやカツオなどの
回遊魚はゆったりと泳ぎ続けるので赤筋が発達し、ヒラメやタイのような近海魚は、ちょこまかと泳ぐので白筋が発達したという訳です。生活スタイルの違いが筋肉の色に反映されているというわけです。
回遊魚は寝ているときでも泳ぎ続ける程の抜群のスタミナを持っていますが、その疲れ知らずの体力の源になっているのが、アンセリンやカルノシンなどのイミダゾールジペプチドと総称され
る特殊なペプチド(アミノ酸が結合してできたもの)です。
運動をすると活性酸素によって組織が酸化傷害を受け、それが疲労の一因となっていることが知られています。そして、イミダゾールジペプチドはその優れた抗酸化力で酸化傷害から守ってく
れるため疲労を防ぐと言われています。
なお、イミダゾールジペプチドは、イミダペプチドと略されることもあります。また、マグロやカツオなどの回遊魚の他に鶏の胸肉などにも多く含まれていますので、魚が苦手という方には、
鶏の胸肉もお勧めです。
(医学博士 食品保健指導士 中本屋幸永/絵:そねたあゆみ)2012-08