秋の夜、日が沈んで間もない時刻、頭のほぼ真上に、4つの星が目立って見えます。これを「ペガススの大四辺形」といいます。それよりも左上の北東にかけて、V字形に並んでいるのがアンドロメダ座です。アンドロメダ座には「アンドロメダ星雲」という、地球を含んだ天の川銀河のお隣の銀河、M31銀河を、ぼんやりとですが見ることができます。
また、ペガスス座にもアンドロメダ座にも明るい星が多く、それぞれの中にある明るい星を結んで「秋の四辺形」と呼ばれることもあります。
では、アンドロメダとペガススにまつわる神話をご紹介します。
アンドロメダは、エチオピアの王ケフェウスと、王妃カシオペアとのあいだに生まれた王女でした。あるときカシオペアは「自分は海の妖精ネーレーイスよりも美しい」と、人々に自慢をしました。そのことを知ったネーレーイスは、そのことを海の神ポセイドンに訴えました。それを聞いて怒ったポセイドンは、エチオピアの海にくじらの怪物ケートスを遣わしし、海を荒らしました。ケフェウス王が予言の神さまの意見を求めると、ポセイドンの怒りを鎮めるためにはアンドロメダをくじらのいけにえに差し出さないといけないというお告げが出ました。エチオピア王と王妃は神託のままに、王女アンドロメダを海辺の岩に鎖でくくりつけました。
そこへ、別の冒険を終えたばかりの勇者ペルセウスが、空を飛ぶ馬であるペガススに乗って、偶然通りかかったのです。勇者ペルセウスは、今にもアンドロメダに食らいつきそうになっているケートスを倒しました。
やがてアンドロメダはペルセウスの妻となり、6人の子どもを産みました。そうして女神アテーナーに気に入られ、天に上げられて星座になった、と言われています。
この物語に出てくる人や生きもののうち、ケフェウス、カシオペア、怪物くじらのケートス(くじら座として)、勇者ペルセウスたちも、それぞれ星座として夜空で見ることができます。ペルセウスはアンドロメダとペガススのあいだに輝き、カシオペアは、娘であるアンドロメダ座のすぐそばで、独特のWの形を描いて、夜空に浮んでいます。そしてケフェウス王も、妻の隣に仲睦まじく並んでいます。そしてアンドロメダ座から少し離れた位置に、くじら座も秋の夜空に現れています。(コラムニスト 気象予報士 チャーリー)
2015-10