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食事療法はオーダーメードで!

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1510-3 世の中に食事療法というものが星の数ほどあり、いろいろな本を読めば読むほど皆さんは迷ってしまわれると思います。
ガンの食事療法でも、代表的な玄米菜食とゲルソン療法ではその内容も正反対である部分があります。これは、物事には必ず裏面と表面があることを理解していれば、容易にそのバランスを取ることができるでしょう。
例えば、ブドウ糖はガン細胞にとって、この上ないエネルギーになるため、極端に糖質制限に走る療法があります。
しかし、炭水化物(食物繊維+ブドウ糖)は、私たちがエネルギー活動をするために不可欠なものであり、燃えかすが残らないクリーンなエネルギーなんですね。
従って、ブドウ糖が持続的に安定して供給されることが大切で、極端な血糖上昇や、それに伴うインスリン分泌で、血糖値が急激に下がってしまうのを避けるのが良い方法です。
そのような意味で、精白糖や液糖を避けて、雑穀などの食物繊維が多く、ゆっくりと持続的な必要量の糖が供給されてゆく食品を上手に摂られることは良いと思います。
ガンの方では、玄米菜食を取入れる方が多いですが、玄米菜食は安定した糖の供給が出来るほか、動物性のタンパクや脂質を控えるために、肝機能、腎機能に負担をかけることがなく解毒の力を高める点で、お勧めできると思います。
次に動物性のタンパク質についても賛否両論があります。動物性タンパク質と植物性タンパク質の違いは、プロテインスコアーと脂肪酸のバランスの違いです。植物性タンパク質に比べて、動物性タンパク質は必須アミノ酸が網羅されており、栄養の観点から優れています。必須アミノ酸が不足すると、貧血、リンパ球の数と活性の低下・・・免疫力低下、手足がだるい、ふらつき、めまい、むくむ、疲れやすい、髪が抜けるなど、気血両虚の症状が出てくるので、状況に応じて制限を緩める必要があると思います。
又、動物性タンパク質の中でも、魚にはωー3系の脂質が含まれており、肉に多い動物性飽和脂肪酸とは、生理活性が違うので、別物として捉えた方がよいでしょう。
それでは、動物性タンパクを否定する理由としては、代謝の段階で、アンモニアを代表とする有害な窒素化合物が生じ、これが炎症、ガン化、神経障害等の原因になるためです。組織で生じた有毒アンモニアは、グルタミンに変換され、筋肉で生じたアンモニアはピルビン酸からのアラニンに変換されて、肝臓に運ばれ、肝臓で脱アミノ化されて、尿酸・・・そして尿素に変換されて、腎臓から排泄されてゆきます。これが非常に肝臓、腎臓に負担をかけ、解毒作業がオーバーワークになってしまうんですね。
ですので、特に肝臓、腎臓、消化管にガンがある方には、臓器の力が回復するまで避けた方がよいわけです。
このように、どれひとつをとっても必ず二面性があります。
そして、体の状態も千差万別ですので、そのときの体の状態に合わせた食養生というのが大切になります。
今回は、西洋医学的な観点から食養生をお話しましたが、中医学的にはさらに細かく体質を弁証し、それぞれに必要な食材をとることで、体のバランスを回復させてゆきます。(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵)
2015-10

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