生ジュース用のケールを庭で鉢植え栽培しているが、この時期、悪戯もののヒヨドリが綺麗に啄んでしまう。少しでも被害を防ごうと防鳥網を買い求めてカバーしたところ、画眉鳥(がびちょう)が、その網に引っかかって、羽根を散らし、血を流していた。
そのままでは、死んでしまうかもしれないので、鳥かごを買い求めて、しばらく飼って養生させることにした。飼い方などをネットで調べると、どうやら無許可で飼ってはいけない鳥らしい。もともと、中国にいた鳥で、人間に飼われる鳥のようだ。一般に野鳥は、鳥かごに入れても、中で暴れまわって、体力を消耗し、数日で死んでしまうことが多い、それに比べると、画眉鳥は飼われなれている気がする。飼ってみると、この鳥は、案外多くいることがわかった。知り合いなのか、籠の近くに頻繁にやってくる。
ただ、鳴き声がうるさいので閉口するが、籠の中の輪くぐりも器用にこなすなど、見ていても飽きない。数ヶ月飼っていたが、ある日、餌を入れる時に、隙間から逃げられてしまった。キズも癒えていたのでちょうど良かったのかもしれない。
防鳥網は、カスミ網と似ているが、色が赤なので、辛うじて、販売・使用が許可されているようだ。
ところで、自然界のカスミ網に相当するのが、蜘蛛の巣である。蜘蛛巣の作り方や形状の見事さも驚くが、その細い糸でありながら、強靭なのにも驚く。最近、動植物の生態や構造などを調べ、これ等をヒントに、何か製品が出来ないかとの研究が盛んになっているという。カイコの絹糸をヒントにナイロンを作ったように、蜘蛛の糸をヒントに、強靭な糸を作ることが出来ればと考える人は昔から多くいたはずだ。
ところが、本当に、蜘蛛糸の研究から、スバラシイ繊維を創りだした会社が日本にあり、最近、多方面から注目されている。山形県鶴岡市にあるスパイバーという企業が開発した「GMONOS」という繊維で、①強度が鋼鉄の4倍以上でしかも軽量②伸縮性はナイロン以上③微生物を介して生産するため低エネルギ、環境負荷が少なくてOKなど、夢の様な繊維だ。現在、衣料メーカーや自動車部品メーカーなどと共同プロジェクトを組んでこの繊維の実用化、商品化を進めている。ナイロンを創ったデュポンが今や世界的な企業に成長しているが、人工クモ糸を創った同社が、久しぶりに世界規模の大企業に変身することが期待されている。
(ジャーナリスト 井上勝彦/絵:そねたあゆみ)2016-04