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自然界でも「過保護」はだめ!

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16自然界でも「過保護」はだめ「オゾンホール」で近年知られるようになったオゾンについて、みなさんはどれくらいご存知でしょう?

オゾンは、O3と書きます。O2と言えば、酸素分子ですよね? 酸素分子に酸素原子が衝突し、オゾンはできます。

誕生して間もない地球の大気は、現在の火星や金星と同じで、窒素と二酸化炭素が主成分でした。やがて地球に海ができ、およそ35億年前、そこに生命が生まれました。

ラン藻類が誕生すると、それらは光と二酸化炭素を用いて酸素を生成するという、光合成をするようになり、地球大気中の酸素量が増加していったのです。

大気中に増え始めた酸素は、はるか上空、高度20~30km付近で「オゾン層」を形成しました。ここでは、生命に有害な、波長0.25~0.32μmの紫外線(UV-B)を吸収します。そうなって初めて、生物は海から陸へ進出することが可能になったのです。

しかし近年、フロン等の塩素酸化物や、一酸化炭素、二酸化窒素の影響で、オゾン層が破壊されようとしています。例えば塩素は、フロンを形成する酸素原子のうちの一つと結びつき、一酸化塩素とただの酸素とに分解してしまうのです。

今年の秋は南極で史上最大のオゾンホールが観測されたといいます。オゾン層が破壊され、紫外線が降り注ぐと、人間だけでなく、植物の成長や農作物の収穫が低下したり、動植物の生態系や気候の変化にも悪影響を及ぼすと言われています。

こんなふうに書くと、オゾンがいかにも守ってやらないといけないもののように受け取られがちですが、私たちの生活する地表付近(対流圏)ではオゾンは、二酸化炭素やメタン、フロンに匹敵する、温室効果気体の一つなのです。自然界にも「適材適所」といったところ、「過保護」はいけないのです。

(気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)

2005.12

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