(絵:吉田たつちか)
後期高齢者の仲間入りを契機に、免許を返納した。娘たちからも、資産もないのだから、万一、人身事故でも起こしたら賠償責任も負えないので.・・・と、きつく言われていた。
車は3年前、ミッションが損壊したのを契機に手放したものの、時折、レンタカーを借りて乗っていた。
今では、タクシーや電車がたよりだが、車を保有していた時よりは出費は少ない。特に、コロナ禍でスティホームが続くとよけい外出の機会が少なくなる。
車がないので、買い物もネット経由が主流になった。食材も冷凍お取り寄せが増えた。冷蔵庫の冷凍室では足らなくなり、最近、冷凍庫を買った。冷凍食品も冷凍技術が進歩したようで、かなり美味しくなっている。ラーメンや餃子はもっぱら冷凍食品になった。
そんなわけで、駐車場のスペースが空いたので、ここを花壇にしている。当初は、野菜も作っていたが、プランター栽培ではうまく作れず、今は、生ジュース用のケールとえんどう豆以外はやめて、花が殆どになった。花なら、農薬も気兼ねなく使えるので、そこそこ上手く育てられる。
花苗や花種も通販たよりだが、注文した時期と届く時期に乖離がある場合が少なくなく、重複注文などが間々ある。
そんな中、中国から小さなねずみ色のビニール袋で包装された黒い種が届いた。注文した覚えはないのだがと、訝ったもののプラスチックカップに種まき土を入れ、蒔いた。
そんなおり、新聞で、同じように中国から種が届いたが蒔かないで届け出るようにとのニュースを見た。中国や東南アジアで動植物栽培のコンサルタントをやっていた経歴のある飲み仲間である知人A氏に聞くと、危険性も考えられるので、蒔かないで届け出たほうがいいとのアドバイス。
農林水産省の防疫機関である植物防疫所は7月30日、注文していない植物が郵送されても開封しないよう注意喚起を発表している。
まだ芽が出る前だったので、ピンセットで掘り出し、高温焼却すれば問題ないだろうと思い、通常のゴミと一緒に出した。ところが2つぶほど土の中に残っていたようで、芽が出てきた。プラスチックコップの中なので、外部に影響なかろうと、しばらく様子を見ることにした。どうやら野菜ではなく花か雑草のようである。種まき土は栄養分がないので、育ちは遅々としているし、葉の端が黒ずんできた。もう少し様子を見て、廃棄しようと思う。
今回の種騒動について、中国当局は郵便物に記載された「中国郵政」の文字は偽造で、情報にも多くの誤りがあるとし、調査するとしているが、結果が判明したとのニュースは今のところ、見当たらない。
アメリカでも同様の騒動が起きているようだ。現在、米中で貿易制限やデジタル技術、情報漏えいなどで揉めているが、今回の騒動には、それそうおうの費用もかかっていることから、この謎を誰か解き明かしてほしいものだ。
ひょっとすると、種が送られてきた人の個人情報はすでに中国当局に把握されデーターベースに収録されているという(中国以外の国や企業からの)警告かもしれない。最近、日本のアマゾンで購入しても中国から届く商品も少なくないので、その(警告目的)可能性は否定できない。
(ジャーナリスト 井上勝彦)2020-10
(ジャーナリスト 井上勝彦)2020-10