『マイルをためる』ことは、すっかり私達の生活に定着してきました。マイルとは、距離を表す単位のこと。アメリカの航空会社が乗客の飛行マイルによって、さまざまなサービスを展開しようと始めたことに端を発しています。そのサービスは、あっという間に顧客の心をつかみ、マイレージプログラムに加入する人が増えました。今や、マイレージプログラムは航空会社だけのものではなく、鉄道やETC、銀行など、さまざまな業種で活用されています。
しかし、ためて欲しくないマイレージがあります。それは『フードマイレージ』。食糧を他国から輸送し、私達の食卓へ届く距離を示したものです。
フードマイレージは、重さ×輸送距離で数値化されます。農林水産省によると、日本のフードマイレージは五千二憶トン・キロメートル。これは、韓国やアメリカに比べて約三倍も多い数値で日本の食糧自給率の低さがうかがえます。
フードマイレージが多いと、どうなるのでしょうか。まず、輸送コストがその分余計にかかります。そして、そのために使われる石油エネルギーが二酸化炭素となって排出され、地球温暖化の原因になります。
では、フードマイレージを減らすにはどうしたらいいのでしょうか。輸入に頼らず食糧自給率を上げることは難しい問題です。身近な対策に目をむけると、忘れてはならないのが、地元で産出したものを地元で消費する『地産地消』の精神。現在、スーパーの店頭には北海道から沖縄までのありとあらゆる産地の食材が並び、インターネットでは日本各地の名産を簡単に取り寄せることができるようになりました。しかし、地元でとれた新鮮な食材を口に運ぶことが、一番フードマイレージを少なくします。そして地球環境にも役立ちます。
近頃では地元の食材にこだわったレストランも増えています。この機会に地産地消を心掛け、フードマイレージが少なくなるよう意識してみてはいかがでしょうか。
(コラムニスト 愛川いつき/絵:そねたあゆみ)2012-12