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「大酒のみの顔」ポインセチア

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10「大酒のみの顔」ポインセチア赤や青、黄色のイルミネーションが美しく街を彩る時期がやってきました。十二月二十五日はクリスマス。ストリートのみならず、家庭でもホームセンターで電飾を購入し、ベランダや庭先をキラキラと輝かせてクリスマスを迎える人々が増えています。

我が家では電飾はちょっと……と抵抗がある人も、玄関先にポインセチアの鉢植えを飾ってクリスマス気分にひたる人が多いのではないでしょうか。

赤と緑の絶妙のコントラストはクリスマスのイメージにぴったりです。上部に咲く赤い部分は実は花ではなく、苞(ほう)であることは案外知られていません。 花は中央にいくつか小さく丸くまとまった黄色い部分なのです。でもやっぱり赤のインパクトが強く、花であるかのように見てしまいますよね。

ポインセチアの原産地メキシコでは、その苞の色を『純潔なキリストの血』と例え、緑の葉を『農作物の成長』に例えて十七世紀ごろから宗教的な祭事で飾っていたそうです。その頃はポインセチアと呼ばれておらず、一八二五年にメキシコ駐在のアメリカ大使ジョエル・ロバート・ポインセット氏がアメリカに持ち帰り、植物園などに配って広めたことにより 「ポインセチア」と呼ばれるようになったそうです。

そして日照時間の短い冬にしか色づかないという性質もあり、キリストの誕生を祝うクリスマスに飾られる花となっていったのです。

日本でポインセチアをこの時期に飾る習慣は最近のような気がしませんか? しかし意外にも明治時代から輸入されていたのです。

仏教が根強かったその当時、我が国ではポインセチアの赤を何に例えたと思います? 『大酒のみの顔』だそうですよ。なんとも日本人らしい比喩で面白いですね。

美しく染まった真紅のポインセチア。私達に季節感を味あわせ、どことなく心をワクワクさせるクリスマスのシンボル。今やポインセチアは日本人の生活に定着した輸入花と言えましょう。

(コラムニスト 華山 姜純/絵:吉田たつちか)

2010.12

 

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