UA-77435066-1

老化を遅らせる鍵は還暦前後の過ごし方にあり!

 | 

(絵:吉田たつちか)

 激しく老化を感じる時期は人生に2度あり、1度目が44歳前後、2度目が還暦前後です。1度目はちょうどホルモンのバランスが変わり、更年期に差し掛かる頃で、急激な血圧の上昇や、今まで無かった脂質代謝異常など血管系や自律神経系にまつわる不具合が生じやすいです。
 そして2度目は還暦前後にやってきます。60歳前後では毛細血管の数が20代の6割程度に減少するといわれ、特に肝臓、腎臓など細かい毛細血管の塊である臓器が機能低下すると、敵面に影響されるのが筋肉と骨です。
 毛細血管が減ると言うことは、筋肉や骨の隅々にまで酸素と栄養が届かないという事なので、体を動かさなければ20代の人の2倍のスピードで筋肉も骨も衰えて行きます。
 これをテストするには片足立ちが有効です。片足立ちが出来る秒数と大腿部の筋肉量、骨密度、脳の萎縮度や認知機能には相関関係がある事が確認されています。
 片足立ちテストの方法は(1)足を揃えて姿勢を正して立つ(2)片足をゆっくり持ち上げる(高さは問わない)(3)そのまま何秒キープできるかを測る
 愛媛大学の抗加齢・予防医学センターの研究では、片足立ちが40秒未満では脳の萎縮が見られ、60秒未満では骨密度の低下が見られたといいます。左右の足とも、60秒を越えられるように毎日トレーニングすることは有効です。片足立ちは、下肢や体幹を鍛えるバランス力向上のトレーニングになり、運動時に筋肉から出る神経伝達物質により、脳への神経ネットワークも刺激され、一石二鳥のトレーニングです。
 さらに骨粗鬆症を防ぐためには、加工食品を極力減らす事が大切です!加工食品には、大量のリン酸塩が使われています。リンは骨や歯を構成する必要不可欠な成分ですが、摂りすぎるとカルシウムの吸収を阻害し、又尿中へカルシウムを排泄します。
その結果、血中に足りないカルシウムを補う為に、骨からカルシウムがどんどん奪われ、骨密度を低下させます。
 菓子パン、コンビニ弁当、スーパーのお惣菜、ファーストフード、カップ麺、スナック菓子、ハム、ソーセージなど食肉加工食品、プロセスチーズなどには、保存剤として少量でも非常に吸収されやすいリン酸塩が使われているので要注意です。
 そして、意外な落とし穴が骨粗鬆症に良かれと思って摂っている牛乳です。
(1)牛乳にはカゼインやホエイタンパクが含まれており、代謝の段階で硫酸、リン酸ができて、体内の酸性度が上昇します。それを調整するために骨からカルシウムが奪われます(2)乳糖不耐性で下痢をすると、カルシウムの吸収が阻害されます(3)牛乳に含まれるIGF(インスリングロースファクター)が骨の再生を阻害します(4)過剰なリンにより副甲状腺ホルモン(パラトルモン)が促進され、骨からカルシウムを引き出し、長期的な骨密度低下を起こす、などとされています。
 カルシウムの効果的摂取には、海藻、魚介類、そして切り干し大根、干し椎茸、高野豆腐などの乾物でビタミンDを同時に補います。又、骨の形成にはカルシウムだけでなく、それを支えるコラーゲンタンパクが必要です。毎食最低でも20グラムのタンパク質を補って行くことが大切です。

(薬剤師・国際中医師・国際薬膳師 高田理恵)2025-06

コメントを残す