毎年2月、早い年では1月の終わりになると、まれに都心が大雪に見舞われ、交通機関がストップしてしまうなど、大きな被害をもたらすことがあります。実はこれはお天気の上ではおなじみの現象で毎日天気図を見ている人ならすぐに察しがつくたぐいのものです。
都心に大雪をもたらす気圧配置を「南岸低気圧型」と呼びます。なぜなら、日本の太平洋南岸で、低気圧が西から東へと移動していくときに雪が降るからです。
低気圧は、前面(東側)に暖かい空気が南から吹き込んでおり、後面(西側)に冷たい空気が北から吹き込んでいます。そしてその空気がぶつかりあったところに前線ができます。前面に半円で示されるのが温暖前線、後面に三角形で示されるのが寒冷前線です。この時期に限らず、それぞれ、前線が通過するときにはお天気は悪くなります。
さて。この南岸低気圧が都心に雪を降らせるか降らせないかの目安になるのが、東京の南海上に位置する「八丈島」なのです。「低気圧の中心が、八丈島の南を通れば雪」という経験則があります。
「逆では?」と思われた方もおられるでしょうが、「南」で正解なんです。(かといってはるか南では論外ですが)
なぜなら、さきほども触れた低気圧の仕組み上、あまりに低気圧の中心が近すぎると、充分に寒気が入り込まないのです。が、八丈島の南くらいまで南下すると、充分な寒気が流入し、大雪をもたらすことになるのです。
雪が降る条件として、これはどの地域にでも言えることですが、まずは地上の気温が3℃以下であることが挙げられます。さらに、湿度が低く乾燥いているときの方が、雨は雪になりやすいです。特に普段から雪の備えをしていない地域の方は、油断せず、お気を付けて、安全な冬をお過ごしください。
(文:気候予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)2007.02