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庶民も楽しんだ会席料理

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1305-01日本料理を代表するものに、『会席料理』いうものがあります。『本膳料理』の流れを汲むもので、『懐石料理』が、茶を楽しむための質素なものであるのに対して『会席料理』は酒を楽しむものですから、宴席や饗応に使われた豪華なものになります。
結婚式などの正式料理として出される会席料理は、公家たちの宴席料理であった本膳料理の流れを汲んでいますが、この会席料理が成立したのは江戸時代中期から後期にかけての時代でした。
江戸時代は、庶民がのびのびし出すと武士が「改革」と称する“倹約令”を出したのですがその“庶民がのびのびとした時代”に料理が発達し、政治家が“改革”や“倹約”と言い出すと、贅をつくした料理もまた倹約の対象となるため発達を止めねばなりません。
なんだかバブル時代に“美食グルメブーム”が来たのと似ていますね。
会席料理は「寛政の改革」を行なった松平定信という老中が解任されたあとの文化文政時代に、茶のための懐石料理から、酒や宴会のための会席料理へと分離成立したものです。
会席料理は本膳料理や懐石料理のように、あまり作法にうるさくないというもの、庶民には入りやすかったのかも知れません。
会席料理の“会席”とは俳句や連歌などの寄り合いの席という意味です、識字率が高かった庶民は、農民や商人も俳句や連歌を楽しみ、そして会席料理も楽しんだのでした。
江戸、大阪、京都という都市で流行った料理は、そういった地方や郊外の趣味人たちにも伝わっていったといいます。
日本の……、特に江戸時代の食文化は、支配者階級よりも、庶民が大きく発展させた世界的にもめずらしい食文化なのでした。
(食文化研究家 巨椋修/絵:そねたあゆみ)2013-05

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