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5月の星座 うみへび座

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16-05-4 5月の夜空、西から南の低い空に並んだ10個の星々を連ねたのが、うみへび座です。ただ、2等星が1つあるだけで、ほかは3等星よりも暗い星ばかりなので、あまり目立つ星座ではありません。この2等星は、うみへびの心臓部分にあるとされ、うみへびの心臓を意味する「コルヒドレ」と呼ばれたり、「アルファルド」という別名も持っています。しかしこの星座は、地球上から確認できて、人間によって名前が付けられた全88個の星座のうち、最も大きな星座です。この星座はラテン語では「Hydra(ヒドラ)」というので、日本では「ヒドラ座」と呼ばれていた時期もあるそうです。
さてこの星座ができた由来をご説明します。ギリシア神話の英雄ヘラクレスは、大神ゼウスと人間の女性アルクメネとのあいだに生まれました。ゼウスの正妻である女神のヘラ――美しいのに嫉妬深くで有名な女神。ちなみにゼウスは女ずきで有名な大神――は、夫が浮気をして生ませた子どもであるヘラクレスにも、たくさんのいやがらせをしました。生まれつき怪力を持っていたヘラクレスはヘラによって12の冒険(「仕事」とも言われる)をしなければならなくなります。
その2つ目にするように指示されたのが、「怪物ヒドラ退治」でした。怪物ヒドラは、アルゴスという国の、ある沼に住んでいました。
ヒドラとは9つの頭を持ち、大きさは人間の20倍もあると言われる巨大な蛇でした。しかもその真ん中の頭は、死ぬことがないと言われていました。そして9つの頭のそれぞれ備わっている口からは、毒ガスを吐き出します。
ヘラクレスはヒドラの頭の1つ1つを、棍棒で叩き落していきました。しかし、1つ落ちたあとからは、今度は2つの新しい頭が出て来ます。毒ガスも吹き付けられましたが、ヘラクレスはあきらめず、息を止めてヒドラの頭を殴り続けました。戦いが長引いてきたので、ヘラクレスは甥のイオラーオスに、「俺が首を叩き落としたら、切り口を火で焼いてくれ!」と命令をしました。そうすると、焼かれた傷痕から新しい首が出て来ることはなくなりましたが、「不死身の頭」だけが生き残りました。ヘラクレスはその頭に大岩を投げつけて封じ込めました。この見事な戦いに感動した女神ヘラが、ヒドラを空に上げうみへび座にした、と言われています。
(コラムニスト 気象予報士 チャーリー)

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