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好きなものだけ見せられる時代

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(絵:吉田たつちか)

 某大手テレビ局が希望退職者募るとのニュースが流れた。事実上の人員整理である。長らく時代の寵児であったテレビがインターネットに追いつかれ追い越された。新聞が購読料と広告料の2本立ての収益モデルなのに対してテレビ(NHKを除く)が広告料の一本足打法なので、広告料の減収はより深刻である。
 背に腹は代えられないとばかり朝から晩まで高齢者を対象にした健康食品や健康器具の広告に放映枠を占領され、若者はもとより、高齢者にもそっぽを向かれている。
 気が付けば小生も最近ほとんどテレビを見ない。見るのは、かろうじて相撲中継程度だ。
 もっぱら、ネットの映画配信を大型テレビに映して楽しんでいる。また、YouTubeを筆頭とした動画配信にもはまっている。テレビが時間の制約があるにせよ、識者などの言説を切り取り編集して一方的な情報を垂れ流しているのに対して、ネット配信では、30分でも1時間でも一次情報、深堀した話が生で聴けるのがいい。
 日本の新聞の多くが無責任な署名なし記事なのに対し、本人が直接語るので聴きでがある。
 ネット配信で最近はまっているのが、以下の3人の天才だ。
※出口治明=ライフネット生命保険株式会社創業者、立命館アジア太平洋大学学長。『人・本・旅』から学べと説く。
※成田悠輔=中高では不登校、東大経済学部主席卒業、イェール大学助教授。半熟仮想株式会社代表取締役。
※岡田斗司夫=知能指数が148サブカルチャー、「オタクのカリスマ」
 各氏の既存知識・常識にとらわれない自由でユニークな発想での言説は一聴の価値がある。
 ネット社会ではアルゴリズム(コンピュータを使ってプログラムで問題を解決するための手順)により、一度検索した言葉や一度見た動画をもとに関連する情報が閲覧者に何度も届く。そのため、上記各氏の論説を連続して拝聴することが容易だ。
 逆に、偏った情報だけが表示されるという弊害も指摘されている。
 新聞やテレビ以上に偏った情報に影響される時代になっていることも自覚する必要がある。
 その意味では新聞もテレビもなんとか生き残ってもらいたいと切望している。

(ジャーナリスト 井上勝彦)2022-02

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