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孫に教わる喜び

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(絵:吉田たつちか)

 お店(スナックオレンジ)に訪れるお客様(ほとんどが高齢者)の多くが最近、ガラケーからスマホに代えている。auが2022年3月31日、SoftBankが2024年1月下旬、ドコモが2026年3月31日にガラケーが使えなくなるとアナウンスしている。ガラケーが全く動かなくなってしまうのではなく3G回線を使用したインターネット通信や電話ができなくなるということだ。
 スマホは、操作のしかたがガラケーと異なるし、いろいろなことができすぎるので、むしろ戸惑っている人が多い。
 Aさんは、電話の音がすぐに小さくなって聞こえなくなってしまい、電話がかかってきてもわからないと困惑している。スマホを専用ケースに入れているが、そのケースにクレジットカードなどが入っていてパンパンに膨らんでいるため、ケースの蓋を開け閉めする時に、消音ボタンが押されてしまうようだ。それを解消するのに一苦労。そのたびに、お孫さんに教えてもらっているが、何度教えてもらってもその手順を忘れてしまう。お孫さんはいやな顔一つせずにそのたびに気軽に教えてくれるそうだ。
 Bさんは、最近お孫さんから、YouTubeの見方を教わったということで、喜んでいる。好きな演歌歌手の新曲を覚えるのに便利だという。坂本冬美の「酔中花」を短期間に覚えてしまった。実は歌手本人の歌唱(*1)はもとより、この歌のカラオケレッスン映像(*2)が短期にマスターできた要因だという。かくて、お店のカラオケで最近、一番唄われているのがこの曲だ。
 アフリカのことわざに「老人が一人亡くなると図書館が一 つなくなるのと同じ」というのがあるが、スマホ時代になると老人の知識や知恵は全て、スマホで知ることができるので、我々老人の役割の多くがスマホにとって代わられ出番が少なくなる時代だ。むしろ、若い人に教えられることに喜びを見出す方がいい。生まれて間もないころからスマホを使っている孫たちに、その使い方を教わることで、孫とのコミュニケーションも増え、仲良くなれる。その意味でも、スマホ先生である子供たちがたくさん必要だ。少子化はぜひとも防がなければならない。
*1=https://www.youtube.com/watch?v=B1kCpZ9a_X4
*2=https://www.youtube.com/watch?v=UDoS3uja9ZI

(ジャーナリスト 井上勝彦)2023-022

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