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プラセボ効果と健康食品の存在意義

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03-13皆さんは、「プラセボ効果」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。他に、偽薬(ぎやく=にせぐすり)効果、プラシーボ効果と呼ばれることもあります。プラセボは、”Placebo”というラテン語が語源で「私は喜ばせる」という意味だそうです。要は、実際には効果があるはずのない偽の薬でも、「この薬はとてもよく効く薬なんだ」などといわれて与えられると心理的な効果を発揮して、病気が治ってしまうという現象です。
医薬品開発などにおいては、効果を判定しようとする薬と偽の薬(プラセボ)を投与する二つのグループに分けて臨床試験が行われることが多いのです。そうしなければ、真に薬の効果で治ったのか心理的な効果によって治ったのか正確に評価できないからです。もしも、この世にプラセボ効果というものがないのであれば、単純に薬を投与する前と後で比較すれば十分だということになります。しかし、プラセボと比較しなかった臨床試験はその精度が疑われるというくらいプラセボ効果は医学界で広く認められた現象なのです。
私も、特定保健用食品(=トクホ)の開発に携わったことがありますが、トクホの許可を得るためにはプラセボを使ったヒト試験(医薬品ではないので敢えて臨床試験とは慣習上呼ばないようです)が要求されていました。プラセボについては、どちらが偽の食品でどちらが試験しようとする食品なのかわからないよう外見だけでなく味や匂いまでそっくりに作らないと審査で落ちるとまで業界内では言われていました。そこまで厚生労働省が神経質にこだわるくらいプラセボ効果は広く認知されているということです。実は、このプラセボ効果こそが健康食品の存在意義でもあると私は思っています。
私が医学部の大学院を出て健康食品の製造会社に就職し、初めて社会人となったとき、製品の原価に比べて販売価格がとても高いのに驚くとともに後ろめたさを感じていました。
今から考えると、健康食品に限らず多くの工業製品は、開発費や広告宣伝費がかかっていますので、それほど理不尽なものでもなかったのですが、当時は何だか落ち着かない気持ちでいました。
しかし、仕事をしていく中で、手紙や電話などで会社のお客様相談室に次から次へといろんな病気がよくなったというお客様からの感謝の声が届くのをみると、なるほどと思えるようになってきました。
健康食品ですから、それなりに体によいと思われる栄養成分が含まれていますし、中には病院での治療を受けながら健康食品を召し上がっている方も多いので、どちらが効いたのかといえば医薬品が効いたに違いないのですが、現代医学でも治療の難しいと言われている難病・奇病まで治ったという改善例がいくつも挙がって来ていました。
これは、もうプラセボ効果としか考えられないと思うようになって、はたと気づきました。もしも、これが身近な大根や人参のような値段で売られていたらプラセボ効果を発揮していただろうかと。
時代劇ではお約束の高麗人参がよい例だと思います。娘を身売りしてまで庶民が欲しがった奇跡の万能薬は、高価だからこそ効力を発揮したのではないでしょうか。
もちろん、原価の10倍も20倍も高い無茶な値段設定は倫理的に許されるものではありませんが、常識的な範囲での少々高めの値段設定は、必要悪の部分もあるのではないかと思っています。必要悪というと少々語弊があるかもしれませんが、研究開発や品質管理面などで値段に見合うコストをかけているという意味です。
健康食品は普段の食事からは十分な摂取量を確保できない栄養成分を補給したり、普段の食品には含まれていないような機能性成分を摂取することができるだけでなく、心理的な効果でも健康の維持・増進に役立っているのではないかと思います。
消費者目線でのアドバイスを申し上げますと、自分の体調にプラスになるだろうと思うことができないような健康食品は摂取すべきではないということです。せっかく、安くはない金額を払うわけですから、人から無理に勧められて食べるのではなく、これなら試してみたいと信頼できるようなものを選ぶべきです。そのような信頼できる健康食品は、それらに含まれる栄養成分や機能性成分本来の働きにに加えて心理的な効果も上乗せされる訳ですから、きっとよい結果を生み出すことと思います。
(医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永/絵:吉田たつちか)2011-03

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