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鮭は有用成分の宝庫

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0810-2鮭の美味しい季節になりました。鮭といえば、赤い身が特徴ですが、実は、白身魚なのです。

一般的に魚は身の色によって赤身魚と白身魚に大別されることはよくご存知だと思いますが、なぜこのような差があるのでしょうか。それは、ズバリ両者の筋肉には質的な差があるからです。筋肉には、働きの違う2種類の筋肉があり、長距離走のような持続運動に適した赤筋と短距離走などのように瞬発的な力を発揮するときに使用される白筋に分かれます。マグロやカツオなどの回遊魚はゆったりと泳ぎ続けるので赤筋が発達し、ヒラメやタイのような近海魚は、ちょこまかと泳ぐので白筋が発達したという訳です。生活スタイルの違いが、筋肉の色に反映されているのですね。

鮭の筋肉も赤色なので赤身の魚だと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、鮭は白身の魚です。赤身魚の赤色成分は、ミオグロビンという酸素を貯蔵するための色素ですが、一方、鮭の赤色はアスタキサンチンという別の種類の色素なのです。このアスタキサンチンという色素は、エビやカニなどの甲殻類にも含まれているカロテノイドの一種です。なお、甲殻類のアスタキサンチンは普段たんぱく質と結合しているので黒っぽい青灰色をしていますが、熱などによってたんぱく質との結合が解けると元の赤色に戻ります。

このアスタキサンチン、実はとても優れものなのです。アスタキサンチンの抗酸化力は、ビタミンEの550倍から1000倍、野菜に含まれるβ-カロテンの約40倍、ブームとなったコエンザイムQ10の約800倍という報告もあり、 「自然界最強の抗酸化成分」ともいわれています。このとても強い抗酸化力は動脈硬化など活性酸素の関わる多くの病気に予防効果が期待されています。

さらに、鮭はアスタキサンチン以外にも様々な栄養成分を含んでいます。特にビタミンD(骨を強くするビタミン)とビタミンB12(造血に関わるビタミンで貧血によい)などはとても豊富に含まれています。その他に、必須脂肪酸のDHAやEPA、皮の部分にはコラーゲン(美容によい成分)、頭部の軟骨部分にはコンドロイチン硫酸 (関節によい成分)なども含んでいて鮭は有用成分の宝庫です。

(医学博士 食品保健指導士 中本屋 幸永/絵:吉田たつちか)

 

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