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イギリス人は外交上手

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16-04-4 私にはアメリカに遠い親戚がいるのですが、その人はいつも、「私の職場にはアフリカ系やヒスパニックからロシア人も北朝鮮もいる」と言います。つまり、「だから、あなたたち日本人と違って世界を知っているんだよ」ということのようですが、でもそれは私に言わせると、すべてアメリカという巨大な水槽の中で見ている「世界」であって、同じ生き物でも動物園で見るのと野生で見るのとではまったく話は違うわけです。
これは人間も同じで、表面だけ見て知った気になっていることが今のアメリカのつまずきの一端となっているような気もしますが、この点で、伊藤博文はその手紙の中で面白いことを言っており、「らくだのことを調べる時、ドイツ人は図書館へ行き、フランス人は動物園へ行き、イギリス人は砂漠へ行く」と。その論でいけば、さしずめアメリカ人は「テレビで見ってわかった気になっている」でしょうか。
確かにイギリス人の外交感覚を見るとき、感心するのはとにかく、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という孫子の兵法そのままにその国の国力、国情から国民性まで、とにかくよく把握していることです。第一次世界大戦の折、日本がアジアで勢力を拡げるのではないか?という心配には「大丈夫、どうせ大したことは出来ない」と、その異民族支配の拙劣さを指摘し、実際にそのとおりになったわけですが、ではアメリカに対してはどうかと言うと、「アメリカは重大な問題に際して、複維な国内事情と子供っぼい感情を持ち込む」と評したド・ゴール元仏大統領の言がもっとも正鵠を射ているように思います。(事実、アメリカは日本人が思っている以上に連邦国家のようで、各州間の利害調整に失敗すると南北戦争のようなことになるし、また、「正義」「人権」という物にやたらと拘るのも知られるとおりです。)
この点はイギリス人も異論はなかったのでしょう。ただ、イギリス人はその判断を一歩進めて、「アメリカには振り回されるが下手に抗議などせず、彼らが冷静になるのを待ったほうが得策」という方針で臨みます。幕末、攘夷に燃えた長州藩への報復として四カ国連合艦隊による砲撃がありましたが、この時、アメリカも他の列強の尻馬に乗って幕府から賠償金をとっており、ただ、アメリカという国の面白いところは、明治になってなぜか突然、このことを反省したようで他の三カ国はびた一文返していないのに結局、この金を日本に返還しました。そう考えると、アメリカという国はまったくおかしな国で、かつてキッシンジャーは日本人を「変わっている」と言いましたが、人のこと言えるのか?と。(小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ)2016-04

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