UA-77435066-1

イラスト入りコラムを約700点収録しています。コラムニストも随時募集中!ニュースレター制作のご相談も承ります。

グルメの時代

 | 

16-09-01●80~90年代に起ったグルメブーム
グルメとはフランス語で「食通」や「美食追及者」といった意味の言葉で、本来は高級食材や珍味を追及する人を指します。日本の場合「B級グルメ」という言葉が示しているように、必ずしも高級ではなく、もっと気軽に美味しいものを求める人を指しています。
日本でグルメブームが起ったのは80年代の半ば。80年代というのは、日本がようやく豊かさを手に入れた時代といわれていて、豊かになればただ満腹になればいいのではなくより美味しく、より健康的な生活を求めるようになります。
そんな83年にグルメ漫画『美味しんぼ』の連載がビックコミック・スピリッツで開始。この漫画は、グルメな親子が対立しつつ美食対決をするというもので、やがてテレビアニメになり、実写のテレビドラマや映画になるほどの大ヒットしました。
85年では、伊丹十三監督作品、映画『たんぽぽ』が公開。
この映画は、つぶれかけたラーメン屋を食通のトラック運転手が、立て直すというストーリーで、出てくる料理は、ラーメンだけではなく、フランス料理や北京ダック、家庭のチャーハンまで出てくるまさにグルメ映画で、日本より海外で評価された名作でした。
93年にテレビでの料理対決番組『料理の鉄人』が放送開始。この番組は「鉄人」と呼ばれるフレンチ、中華、イタリアン和食の一流料理人が、チャレンジャーからの挑戦を受け対決するという番組でした。
このように日本のグルメブームは、漫画、映画、テレビといったメディアが起こしたものだったのです。
そしてそれはやっと豊かになった大衆が求めたものといってもいいでしょう。

●イタメシと言われたイタリア料理
グルメブームのときに人気が出たのが、イタリア料理です。イタリア料理のことを若者たちが「イタ飯(メシ)」といって、好んで食べるようになったのが、ちょうどバブル経済絶頂期である90年前後。それまでイタリアの料理といえば、ナポリタンやミートソース・スパゲティにマカロニ程度しか知らず、麺もうどんのようにコシがなくなるまでゆでていて、ナポリタンなんかも、焼きそばのようにフライパンでソースを絡めるのではなく、炒めていた時代から、ようやく「アルデンテ」、つまり麺に髪の毛一本分の芯を残すようにゆで上げることを知った時代でもありました。

またフランス料理ではなくイタリア料理が流行ったわけは、いかにバブル全盛の時代とはいえ、本格フランス料理はまだまだ敷居が高かったのに対して、「イタ飯」はお値段もお手頃、お気軽にお店で食べられるオシャレな料理であったからです。

●グルメ大国ニッポン!
バブルの時代に沸き起こったグルメブームですが、このブームはバブルが崩壊し、平成不況が続く現在までまだ終わっていません。お金持ちだけではなく、お金持ちではない庶民も、それなりの美食を求める人がたくさんいます。

立ち食い蕎麦屋めぐりをする人、美味しいスイーツを求めてお店めぐりをする人、出版不況のなかで、ラーメン本は途切れることなく売れ続けています。

また、家庭内においても、出てくる料理は西洋料理、中華料理、日本料理と、世界各国の料理が出され、子どもがお母さんにたずねる言葉は「お母さん、今夜のごはんはなあに?」なのです。

意外かも知れませんが、日本の家庭ほど世界各国の料理が当たり前のように出てくる国はありません。日本人はほぼ全員がプチグルメなのです。まさにグルメ大国ニッポン! そしていまなお日本はグルメの時代なのです。

さあて、読者の皆様は、今夜なにを召し上がりますか?

(食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ))2016-09/絵:そねたあゆみ

コメントを残す

Top