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栄養がないけど貴重な食べ物 コンニャクとゴボウ

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(絵:そねたあゆみ)

●なんだこのブヨブヨしたものは!?
「なんですか!? このブヨブヨした気味の悪いものは!? 本当に食べ物なのですか!?」
 ある外国人はコンニャクを口にしたとたん、思わず吐き出しながらそのように叫んだといいます。コンニャクは外見といい食感といい外国人にとって未経験な食べ物なのです。
 それもそのはず。コンニャクなる食べ物を栽培している国は日本を、中国、ミャンマー、スリランカのみ。そしてその生産量の95%を日本が消費しており、世界的には未知なる食べ物なのです。

●ほとんど栄養がないのに愛されるコンニャク
 世界的にめずらしいコンニャクですが、なぜめずらしいのか? それはコンニャクにはほとんどカロリーも栄養もない食品だからです。しかしながら日本人は大昔からコンニャクを愛し食べ続けてきました。
 コンニャクの原産地はインドシナ半島あたりとされ、日本には縄文時代に伝わったといわれていますが、ハッキリしたことはわかっておりません。
 最初、コンニャクは薬として食べられていたようです。いまでもコンニャクは「お腹の砂おろし」といわれるくらいで、便秘に効果的。
 コンニャクの主成分はほとんど食物繊維。食物繊維は胃や小腸で消化・吸収されずに大腸まで届き、腸内の老廃物を吸収したり、水分を吸収しながら腸内環境を良くしながら、便通も良くしてくれる優れもの。ただし、一度に大量に食べると腸閉塞をおこす可能性があるそうですから、ダイエット目的で食べる人はご注意ください。
 あと糖尿病や、動脈硬化にもいいそうで、平安時代とか糖尿病の貴族とかが食べていたそうな。
 栄養もないくせに、大したものですコンニャクさん。そしてそのコンニャクを愛し続けた日本人も。

●外国人が木の根っこと思ったゴボウ
 ゴボウも日本人しか食べない食べ物。ゴボウについては日本と海外で食文化の違いからある悲劇が伝わっています。
 太平洋戦争中、捕虜になったアメリカ人が収容所で日本人から「木の根っこた食べさせられた」と、日本人が戦争裁判で訴えられたということがあったそうです。
 当時は食糧難で日本人もろくに食べ物がなく、むしろゴボウは貴重品であり、一種のサービス精神でゴボウを捕虜の食事に出したそうなのですが、アメリカ人にはゴボウが木の根っこにしか見えず、「これは虐待である」とされ、日本人は5年の刑に処されたとか。食文化の違いが生んだ悲劇といえます。
 このゴボウも食物繊維ばかりで食べても消化しないで胃腸を通過するだけなので、栄養はほとんどありません。
 しかし、ゴボウもコンニャク同様腸内の水分を吸収しながら通過していくので、腸内をお掃除し、お通じを良くしてくれる効果があるのです。
 さらに食物繊維は、脂肪の分解やコレステロールの過剰を抑える効果があるそうですから、栄養はないのですが、体にとっては実にありがたい効果があるというわけです。

●日本に多い栄養がないけどありがたい食べ物
 コンニャクやゴボウに限らず、他にも栄養がないけれど食物繊維が豊富で腸を掃除してくれる食べ物が我が国には多いようです。
 ゼンマイ、ワラビ、ツクシといった野草。他にもタケノコ、レンコン、ヘチマといったもの。
 日本人は栄養こそないけれど、お通じが良くなることを知っていてこれらの食べ物を好んで食べて来たようです。
 あと、これらの食べ物は食感が独特のものが多く、これらの食感が日本人に好まれたのでしょう。
 人間にも、一見役立たずと思われているけど、実はなくてはならない愛されキャラの人がいたり、影で社会をささえているような人がいますよね。
 一見、不必要と思われる人や物をいらないと切り捨てる社会はギスギスして住みにくい社会だと思います。
 一見栄養がなかったり、ブヨブヨしていたり木の根っこのような食べ物が、実はすごい実力を持っていたりすることもあるのです。
 一見、用なしと思われるものや人にも優しい社会であったほうが、きっと私たちは豊かな暮らしを過ごせるのでしょうね。

(文:食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ))2017-04

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