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新種のウイルス?『esuba virus』

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2011-1206こんな喩え話があります。
「『esuba virus』という新種のウイルスが発見された。このウイルスは子ども百人あたり二人に潜伏していて、重症では一割が命を落とし、三割に麻痺や障害が残ることが判明している。感染の初期に適切な『neihs』という特効薬を打たないと、多くの場合感染が持続し反復する。また、このウイルス は六割以上に垂直感染(親から子どもへの感染のこと)することで、次の世代にも深刻な影響を及ぼしているようだ。このウイルスは日本でも広く蔓延しており、二日に一人が亡くなっている。」
 恐ろしい病気であると感じるでしょうか。実は、これは「子ども虐待」の統計結果をウイルス感染に喩えたものです。ウイルス名の「esuba」は虐待という意味の「abuse」を逆から読んだ造語になっています。虐待を受けている子どもは子ども全体の2%に上り、重度の虐待では三割に後遺症が残り、一割が死亡してしまいます。虐待を受けた子どもは大人になって自分の子どもに虐待を繰り返すことがありますが、それはエイズウイルスよりも頻度の高い垂直感染であるとも言えます。
 新型インフルエンザへの日本の対策予算は一千億円を超えますが。児童虐待対策への予算は百七十億円にとどまっています。ウイルスに例えれば、子ども虐待も間違いなく優先順位が高まるでしょう。
 お気づきになられた方もいらっしゃるでしょうが、ウイルスの特効薬「neihs」は「shien」、つまり「支援」を逆から読んだものです。子供たちのためにも適切な支援が待たれますが、私たちも子どもを守るためにアンテナを張っておかなければなりませんね。
(現役医大生 朽木誠一郎/絵:そねたあゆみ)2011-12

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