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農耕が生まれたのはお酒が飲みたかったから?

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(絵:吉田たつちか)

 「お酒は百薬の長」「ストレス解消にもってこい」なんて昔から申しますが、最近の研究によりますと、お酒は体にも心にも良いことはひとつもないそうです。
 「適量なら」とか「少量なら健康に良い」などということもなく、一番健康にいいのは、お酒を飲まないことだという論文が出ており、晩酌を楽しみにしているわたくしとしては非常に残念!
 大昔、約1万年前、人類は狩猟採集の生活をやめ、農耕をはじめます。これまで農耕を始めたのは、安定的に食料を得るためであったと考えられてきました。ところが最近の研究で「食料を得るためではなく、お酒を飲むためだったのでは?」という仮説が出てきたのです。
 それは人類最古の遺跡とも言われるトルコのギョベクリ・テペに、コムギからお酒を造った可能性が浮かび上がってきたのです。この遺跡のあたりは、人類が農耕を始めた地なのですが、遺跡は農耕が生まれる前に作られたと考えられているので、農耕誕生前にすでに酒造りが行われていたのかもしれないのです。
 他にもイスラエルの洞窟で発見された石臼を調べたところビール造りが大規模に行われていたことが明らかになっています。この場所も、農耕以前の狩猟採集民の洞窟だったといいます。
 人類とお酒との出会いは遠い過去で、まだ人類がチンパンジーやゴリラと分かれていないころだと言われています。そ

 本来、アルコールは猛毒なので、アルコールを分解できない我々のご先祖様は飢えて死んだり、酩酊したりしているところを猛獣に襲われてしまいますから、アルコールを分解できるご先祖様だけ生き残ったのではないかと言われています。

チンパンジーなどはいまでも、発酵しているヤシの実の樹液を飲んで酔っ払ったり、あるいは何匹かで飲み会になっていることもあるといいます。

しかしチンパンジーやゴリラは、お酒を飲むことはできても造ることはできない。しかし人類は果実や小麦を集めてきて発酵させると、お酒ができることを知り造るようになった。

初期人類がお酒と出会うのは、チンパンジーとゴリラと一緒で、たまたま発酵している果実を見つけることだけであったことでしょう。

しかしもっと飲みたい、いつも飲みたいと思った人類は、やがてコムギを植え、収穫、保存することで、一年中お酒を飲めるようにしたいと夢見た。

人類は酔うために農耕をはじめ、食べるためはその副産物であった。あくまで仮説の一つですが、人類が農耕以前に酒造りをはじめたのは、かなり信ぴょう性があることのようです。
(食文化研究家:巨椋修(おぐらおさむ))2021-02

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