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「ヨーロッパ」の由来、おうし座

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カラー4 1月の南の空高く、明るく輝く1等星を見ることができます。それがおうし座の1等星「アルデバラン」です。この星の周囲にはたくさんの星が集まっています。「ヒアデス星団」と呼ばれるその星々が、おうしの顔を形づくります。その右上の方向にも、小さな星々がいくつか集まっているのを見ることができます。これは「プレアデス星団」、日本式の名前では「すばる」といいます。プレアデス星団の当たりが、おうしの肩に位置する、上半身だけが描かれた星座です。また、巨大な星の残骸である「かに星雲」を持つことでも知られています。
古代オリエントでは、繁栄と富の象徴として、牛があがめられていたことから、星座として扱われるようになったと言われています。紀元前4千年ごろには「天のおうし」とか「アヌのおうし」と呼ばれていたようです。
またギリシア神話にもおうし座についてのエピソードがあります。フェニキア国に、エウロパというとても美しい王女がいました。エウロパを一目みた大神ゼウスは、またいつもの悪い癖で、どうしてもエウロパを自分のものにしたいと思いました。そこでゼウスは、自分の姿を牛に変身させ、エウロパに近づきました。エウロパはその牛の、獣とは思えない清潔さや澄んだ瞳に心を惹かれました。そしてエウロパは、侍女たちが止めるのも聞かずに、その牛に飛び乗りました。
そのとたん、その牛はエウロパを乗せて海に飛び込みました。海の底に沈むと、牛はゼウスに姿を変えました。その美しい姿を見て、エウロパもまた、ゼウスに恋をしました。
やがて2人はクレタ島にたどり着き、そこで暮らし始めました。子どもにも恵まれました。そうしてゼウスは、2人が切り拓いた新しいこの土地に、愛する妻エウロパの名をつけ、「ヨーロッパ」と呼ぶことにしました。その後ゼウスは、エウロパに幸福をもたらしたおうしの姿を、星座として空に上げ、それが現在のおうし座だと言われています。
ゼウスとエウロパとのあいだには、3人の息子が生まれました。長男のミノスはのちにクレタ島の王になり、次男のラダマンテュスは公正な立法者になりました。そして三男のサルペドーンは、リュキアという国を創りその王となり、ゼウスの力を借りて3百年にわたってその国を治めたと言われています。

(コラムニスト 気象予報士 チャーリー/絵:そねたあゆみ)2016-01

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