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食の不安と安心について

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16-05-1●不安・悲観・不信は商売になる

現代社会というモノは人類が誕生して以来もっとも多くの情報が溢れかえっている時代です。
その数ある情報の中で、急速に広まるものが不安感、不信感、というネガティブな情報です。
これは人類が生き残るために、ちょっとでも怖いもの危険なものをいち早く察知し、仲間に知らせなければならなかったからなのですが、現在では不安を煽る情報、不信を煽る情報、悲観的な情報はメディアによる金儲けに使われているのです。
「食」の世界でも同じで、現代ほど「食の安全」というより「食の危険」がメディアによって声高に言われる時代はありません。
「食の安全」というのは本当に大切なもので、かつては「水俣病」や「イタイイタイ病」といった工業排水から流れ出た魚や米を食べてしまい、大変な健康被害を起こしてしまった悲しい事件がありました。
現在では、例えば「フクシマの魚や米、野菜は絶対に食べちゃダメ!」と声高にいう人がいたり「食品添加物の入ったものはダメ!」という人もいます。

●メディアの『食の危険』鵜呑みにすると何も食べられなくなる

この前、本屋さんやネット書店で『食べてはいけない系』の本を探してみたところ、出てるわ出てるわ実にたくさんの『食べてはいけない系』の本が実にたくさんありました。
え~、これから書くいくつか書籍の題名を出しますが、その書籍自体を非難するわけではありませんので念のため。
例えば……
『日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる』 (渡辺信幸著 講談社+α新書)
なるほど……と、思って「ごはんじゃなくてパンとならいいんだな……、と、思っても甘いですぞ! こんな本も出ています。
『「いつものパン」があなたを殺す: 脳を一生、老化させない食事 』(デイビッド パールマター&クリスティン ロバーグ著 白澤 卓二訳 三笠書房刊)
「ご飯もパンもダメならうどんかパスタなら……」なんて思ってもムダ! こんな本も出ています。
『小麦は食べるな!』(ウイリアム・デイビス 著 白澤卓二訳 日本文芸社刊)
さらにこんな本も出ています。
『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』 (夏井 睦著 光文社新書刊)
大変です! この本の題名通りなら、ぼくたちがこのまま炭水化物を食べ続けると…… 人類……滅亡……!!
「仕方ない! お野菜をたくさん食べよう!」とかダメダメ! 野菜を食べようなんて人は次の本をお読みなさい!
『「野菜中心」をやめなさい ~肉・卵・チーズのMEC食が健康をつくる』(渡辺 信幸著 宝島社刊)
「の……残された食べ物はお肉だ! お肉を食べて生き残るんだ!!」ですって!? なんということを! こんな本も出ているんですよ!
『長生きしたけりゃ肉は食べるな』(若杉友子著 幻冬舎刊)
つまり……、これらの本に書かれていることをイチイチ真に受けていたらなんにも食べられなくなるというわけ。
書籍というのは、出版社が儲けるために出す商品です。つまり……『食の不安』や『健康の不安』を煽る本は売れるから売るのです。さらにいまの時代、ネットによって誰しもが発信できる時代となり、こういった不安を煽る情報はもの凄く早く大量に出回るようになりました。
この書籍たちに対する真偽は私にはわかりません。でもあまりメディアやネットの不安情報に振り回されるというのは、いかがなものかと思います。もちろん『食の安全』は凄く大切です。心配ならば自分で調べてください。そして安心して美味しいものを食べたいものですね。
(食文化研究家:巨椋修(おぐらおさむ))

 

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