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お魚は新鮮がいいとは限らない

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(絵:そねたあゆみ)

●活け魚と鮮魚

 日本人はお魚をよく食べる民族です。でも必ずしも、特に生の魚をさばいてお刺身、御造り、洗いといった料理で食べることが世界的に有名。最近になってお寿司やお刺身が海外で食されるようになりましたけど、まだまだ日本人のように美味しく食べる域にまで達していないように思えます。まあ海外のお寿司屋とかで働いている職人が、実は中国人だったり韓国人だったりで、寿司職人と言えない人たちが多いのも事実。

 じゃあ日本人はお魚の美味しさをよく知っているのかというと若者のお魚離れとか以前にちょっと疑問に思ってしまうこともあります。これは、島国日本ではほとんどの都道府県で『ご馳走』といえば豪勢なお刺身だったりするのですが…… 東京住まいのぼくに対して、ほとんどの都道府県の方々がいうのが「東京のお刺身なんて不味くて食えませんよ。我が県のお刺身を食べてください。ほら、新鮮でコリコリしているでしょう」とおっしゃいます。

 ちょっと待って。と、ぼくは心の中で思うのです。お魚によっては新鮮なのが美味しいものと、しばらく置いていたほうが美味しいお魚があるのですよ。

●「サバの生き腐れ」「腐ってもタイ」

 さてさて、皆さまは売られている魚には「活け魚」と「鮮魚」があるのはご存知でしょうか? ちょっと嫌な言い方だけど、魚は死ぬと死後硬直をおこします。これはお肉も一緒。

 捕獲されてから死後硬直を起こすまでの魚を「活け魚」といいます。死後硬直が解けて腐る前までを「鮮魚」というのです。

 刺身として食べるのは「活け魚」の状態で、新鮮な刺身がコリコリしているのは、死後硬直のためなのです。

 しかし、魚に旨味がまわってくるのは、死後硬直が解けてからなので、刺身が本当に美味しいのは、死後硬直がやや解けた時期だったりします。

ちなみ青魚は腐敗が早いので、死後硬直中に食べたほうが良いし、タイやヒラメは死後硬直が解けて柔らかくなったほうが、旨味が回っていて美味しいのです。

よく「サバの生き腐れ」「腐ってもタイ」といいますが、この言葉はここから生まれていると言われております。

これはお魚に限らす、牛や豚の場合も、潰してすぐだと旨味がまわっていないのでかたくてあまり美味しくありません。

死後硬直は、2時間後くらいから1日後に起こり硬直した肉は当然、硬くて不味い。よって、血抜きをして内蔵を取り出してから、数日~1ヶ月くらい吊るして「熟成」するのを待ちます。

「熟成」がすすむと、酵素の分解で肉が柔らかくなり、解体も容易にできるといいます。

 お魚も、大きなものほど熟成に時間がかかりますので、高級店では一番美味しくなるまで寝かせてからお客にだします。つまり…… 新鮮だから必ずしも美味しいとは限らないのです。

 でもおそらく魚文化ではない欧米だと、お刺身も食べないし一流店もここまでのこだわりもないでしょう。やはり日本人は魚の美味しさを知っている民族なのかもしれませんね。

●人間の熟成とは?

さてさて、お刺身やお肉にはそのお魚によって『食べごろ』があるのですが、これが人間だとどうなるのでしょうね。

いい人間は年齢を重ね努力している人は「熟成」していくのでしょう。ダメな人間は「生き腐れ」ていくのかもしれません。

努力している人間は「熟成」していくのだろう。

 ぼくはどうなんでしょう? 「生き腐れ」ているのかも…… いや、せめて「発酵」といってほしい。

なんとなく、泣きたくなってきました。

泣いてもいいですか?

泣いてもいいですか???

(文:食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ))2019-02

おぐらおさむの漫画「まり先生の心のお薬研究室」連載をネットで無料配信、スタート

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