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免疫力を上げなければ

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(絵:吉田たつちか)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛期限の前日ではあるが、長期間のステイホームでストレスが貯まり、免疫力も落ちている可能性があることから、これらを解消するためにも役立つとし、5月5日のこどもの日の行事として、我が自治会では年初の予定どおり、ナコウ山ハイキングを挙行した。
 午前9時に、集合。子供7人、後期高齢者3人を含む18人が参加、白波台側の登山口からスタート。途中、白波台の水源貯水塔を経て、離山に登る。この山の頂には昔、白波台自治会の総力を結集して立てたテレビアンテナの痕跡がある。通常のアンテナでは電波を拾えない時代、山頂にアンテナを立て、ケーブルを敷設し、各戸に配線した名残を発見、町内の先輩達の団結力と実行力に感嘆した。
 ナコウ山の山頂近くにある石丁場跡(ここで切り出した石は、海路で東京まで運ばれ、江戸城の石垣に使われた)の広場で昼食。ここからの宇佐美の海、山、街の眺望は、苦心して山を登ってきた者だけが味わえる絶景だ。
 芽吹いた草木の名前や特徴を、町内の最長老で花や木に造詣が深いKさんの説明を聞きながらのハイキング。
 免疫力を増すといわれるフィトンチッドを大量に含んだ薫風を受け、ビタミンDを増進するという太陽の光を受けながら英気を養う。
 下山途中、昔、峠にあったという大島茶屋(とはいっても、今は小さな石碑が残っているだけだが)跡で踵を返し、学園側の道へと下る。途中、法界萬霊塔の横に立てかけてある卒塔婆を発見。記された日付は4月15日、新型コロナウイルス感染症の伝播を阻止する祈念の文字が書かれてある。文面からすると市内のお寺さんが立て掛けたようだ。<法界萬霊塔=昔、村境や峠に悪霊や災難が村に入らないように祀られたもので、文化13年(1816年)に建てられた。伊東市内に3箇所ある内の一つで、ここの法界萬霊塔が最も大きい>
 さらに下ると「吉田松陰先生腰掛の平石」がある、ここに腰掛けると将来、立派な人になれるというと、子らは競って腰を掛ける。
 今回のハイキングに際して、若手のT副会長が古いナコウ山地図を探し出してコピーし、参加者に配布、小生からは「フィトンチッド」の説明を織り込んだ「薫風の5月」と題したコラムを印刷したペーパーを配布した。例年、こどもの日には我が自治会では図書カードを配って読書を奨励してきたが、今年はその配布は無い代わりに、「FACTFULNESS( ファクトフルネス)」と「シン・ニホン」の2冊を子らが読むべき優良図書として推奨した。自分の頭で考え、行動できる大人に育ってもらいたという期待を込めて。

(ジャーナリスト 井上勝彦)2020-06

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