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昆虫に注目!

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(絵:吉田たつちか)

 コロナ禍の中、外出すると、あちらこちらで除菌スプレイと検温を促される。除菌関連のグッツの売れ行きもいい。
 さきごろ株式会社KRI から公表された「昆虫のバイオメティック(生体機能模倣)に基づく新しい抗菌・抗ウイルス技術」が注目をあびている。
 この研究は昆虫(トンボ)の羽を模したナノ構造でウイルスを不活性するというものだ。
 同社によると、この技術は①物理的なダメージに基づく殺菌力を発揮する新しい殺菌、防カビ材料技術②昆虫が持つ鋭利なナノ構造による殺菌機能を人工的に再現したバイオミメティック構造③薬剤のような化学反応を用いない方式で、持続的な効果、胞子や耐性菌への効果も期待できるという。
 昆虫(トンボ)の羽の表面には数百ナノメートルの微細な針状突起があり、この微細構造によって強い抗菌効果を発現する。この抗菌効果は針状突起に細菌やカビが触れた際の物理的なダメージによって発生するというメカニズムから、微細構造の材料は不問で、形状によってのみ機能が規定される点が重要なポイントだ。原理的には微細構造さえ維持できれば半永久的に抗菌性を発揮し、化学反応や熱、光などのエネルがー不要という点で従来の手法と大きく異なる特長がある。
 そのため、①高価な材料ではなく、安価な原材料でOK②複雑で高度な装置等は不要、簡易なプロセスで形成出来る③ミクロンサイズからメーターサイズまで幅広い対象面積に対応出来る事などを念頭に、実用化を視野に入れた技術開発をおこなっていくとしている。
 全生物の70%を占めていると言われる昆虫、まだまだ未解明なヒントが隠されているに違いない。ちなみに、我が自治会では今年のこどもの日に、「バッタを倒しにアフリカへ」(中学生)、「虫は人の鏡 擬態の解剖学」(小学生)を贈った。
 2008年の北京オリンピック前に、世界記録を次々に塗り替える高速水着が世間を騒がせたが、これはサメの皮をヒントに開発されたといわれたが、着るのに時間がかかること(男性は着用するだけで30分、女性ともなると1時間とも2時間ともかかるほどだった)などから規制がかかり、姿を消した。
 コロナ禍の中でのオリンピック開催の是非が問われているが、どちらの論にも一理ある。オリンピックを多くの人が家で見れば、人流が抑制され、結果的にはスティホームが達成できてむしろいいのではないかとの意見が一番合点がいった。
 いずれにしても、オリンピック開催の方法も曲がり角にきていることは確かだ。働き方もリモートワークで、かなりOKなことがわかったのだし、オリンピックも一国開催でなく、競技ごとに、開催国を決めて、期間だけ統一し、ネットで世界中の人が観戦できるようにするのもいいかもしれない。さすれば、そんなに大きな費用負担もなくなるので、中小規模国でも、一部競技だけなら開催国になれるし、オリンピック精神にも叶うにちがいない。
 コロナ禍は人類の大きなピンチではあるが、見方を変えればチャンスでもある。このことは、家庭やお店、企業にも共通していえることではある。

(ジャーナリスト 井上勝彦)2021-07

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