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外国人からみた現代日本の食文化

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(絵:吉田たつちか)

 国際線のCAさんに機内で食事について聞かれるのは「肉にしますか? それとも魚?」、一方日本のレストランで聞かれるのは「ごはんにしますか? それともパン?」であったりします。海外では、ごはんやパンといった炭水化物はそれほど、重要視されていませんが、日本ではあくまで炭水化物重視。
 世界中、その地域地域でいろいろな食文化がありますが日本ほど炭水化物重視の地域は、あまりないでしょう。例えば、ラーメンとチャーハン定食。ラーメンという主食にチャーハンという主食がセットになっている。餃子をおかずにごはんを食べるのは日本では当たり前ですが、中国では餃子はおかずではなく主食。関西ではお好み焼きにごはんが当たり前。焼きそばをパンにはさんだ焼きそばパンなど、海外の人から見たら「なんで~???」というものなんだとか。
 また初めて日本にきた外国人が驚くことにコンビニの食材があまりにも充実していること。そもそもコンビニを、コンビニエンスストア以外の英語で表現すると「gas station」などと呼ばれます。つまりガソリンスタンド。よって、海外、特にアメリカのコンビニは、ガソリンスタンドに併設されている雑貨屋的なもので、食べ物はドリンク類やホットドック、スナック程度で、総菜類はあまりない。
 そして外国人が日本のコンビニで大人気なのは、おにぎりであったりします。おにぎりは日本発祥の食べ物ですがサンドイッチも大人気で「こんなに美味しいサンドイッチは食べたことがない」と、我々には当たり前のものを、毎日買う旅行者がいると思いきや、コンビニのお菓子を大量買いし、母国におみやげに持って帰る人もいるとか。
 また近年海外の旅行者に注目されているものに「駅弁」があります。海外にはランチボックスはあっても、主菜・副菜をキレイに詰め込んだ「弁当」のような食文化はなく、特に日本中にある「駅弁文化」は独特のもの。なんといっても各地の郷土料理が、一つの箱に詰め込まれ、駅弁業者も季節の旬の食材を入れる気の細かさ。
 海外になくて、日本にある食文化としては「麺類をすする」というものがあります。麺類は中国にもヨーロッパにもあるのですが「すする」のは日本だけ。なぜすするのかには、いろいろな説があるのですが、一瞬ですすることで、つゆを落とさず、味や香りをより感じることができるためと言われています。一説によると、ワインのテイスティングのときに口の中を転がして香りを楽しむのと一緒で、蕎麦を一気にすすり込み、鼻に抜ける蕎麦の香りをより強く楽しむためなんだとか。確かに蕎麦はすすったほうが美味しく感じられます。
 しかし近年、海外の旅行者やあるいは海外の食文化に影響された人が「下品だ」「マナー違反だから、すするべきではない」という意見も出てきています。まあ、どちらにせよ美味しく食べるのが一番かと思うのですが…
いま、流行り病のため、海外からのお客さんは極端に減ってしまいました。一日も早く元のように海外からお客さんに来ていただき、日本の食文化を楽しんでもらいたいものですね。

(食文化研究家:巨椋修(おぐらおさむ))2022-02

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