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蚊との戦い

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(絵:吉田たつちか)

 田舎暮らしは虫との戦いでもある。家庭菜園で無農薬に挑戦すると意気込むのはいいが、一夜にしてキャベツが簾状になってしまうこともある。以前は小区画の農園を借りていたが、免許返納後は、自宅の駐車場を小菜園に変えた。
 鉢植えで、定番の夏野菜(トマト、キュウリ、ナス、枝豆)を作ってみたが、毎朝の青虫取り、ヨトウムシ取り、カメムシ取りに追われるので、一昨年からやめて、生ジュース用のケールとレタスを鉢植えで育てることにした。しかし、このケールも2~3日虫取りを忘れると、悲惨なことになる。青虫は芽の中に卵を生むようで葉の成長につれて、卵から虫になり、葉を食い尽くす。かくて、諦め、今年から粉末(青汁)に代えた。
 虫といえば、夏に悩ませられるのが蚊との戦いだ。耳元に羽音を立てて寄ってくる。なにも耳元にきて挑戦状を叩きつけなくてもいいと思うのだが、まさに戦国武士よろしく、名乗りながら堂々とやってくるのだ。
 しかも、ただ血を吸うのなら、わずかな血、しかも後期高齢者のうまくもない血なんぞ、気前よくくれてやるのに、食われたあとがかゆいことかゆいこと。痒さに耐えかねて、つい、かきむしってしまう。掻いた後にできるかさぶたもつい、掻いて取るのでさらになおりが遅くなる。歳をとると回復力も衰えるようで、この時期、腕に蚊に刺された傷跡が日に日に多くなる。
 かゆみをとる機器(BITE HELPER)なる器具を試してみた。蚊に刺されたらすぐにこの器具の金属面を充てる。熱と振動でかゆみが出なくなるという触れ込みだが、やや面倒なのと、電池を入れる部分の蓋がすぐに壊れてしまう雑な作りなので、ほどなく使用しなくなった。ネットで、蚊にさされたら、セロテープを貼れば痒くないとの記事を読んだので試してみたが、これも面倒だ。かゆみ止めの軟膏、塗薬もいろいろ試したが、劇的にかゆみを解消する薬にはいまだ出会っていない。
 蚊をおびき寄せて殺す、電気蚊取り器も購入したが、コンセントにさして使うので、ベランダや花壇などに移動させるのに不便で、いつのまにか使わなくなり、結局、昔ながらの蚊取り線香に落ち着く。
 1895年に渦巻き状の蚊取り線香が日本で作られたが、火種さえあればどこでも使えるので、家庭の電化が遅れ、停電が頻発している国や地域でも使えるとあって世界中に普及しているという。今や日本ではあまり使われなくなった蚊帳も東南アジアやアフリカ諸国など、おなじく蚊に悩まされている場所で、日本以上に利用されている。
 蚊についてもっと詳しく知りたい人には「とってもおもしろい蚊の話」がおススメ。同書によると、血を吸うのはメスの蚊だけだそうだ。げに、メスは恐ろしや・・・・・。
(ジャーナリスト 井上勝彦)2022-07

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