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捨てることの難しさ

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(絵:吉田たつちか)

 厳しかった冬も過ぎ、温和な春が訪れ、山や野にそして庭の花壇に一斉に色々な花が咲き乱れる。冬着を衣装ケースに戻そうとしたら、この冬一度も開けなかった冬物衣装ケースが数個あるのに気が付いた。1年間着なかったら、今後も着る機会はないと判断するのが妥当である。後期高齢者になり、背広を着用する機会はまったくなくなったので、最初にこれを処分した。冠婚に呼ばれる事もなくなったが、葬祭はまだ、少しだけあるし、孫たちの入学卒業式に着るかもしれないので、2着だけ残した。
 家人の3つ上の姉から、頻繁に古着が届く。几帳面な彼女は、いずれも、新品同様に保管している。姉妹でも性格が真逆なようで、家人は、整理整頓が苦手なようだ。かくて我が家の1部屋は洋服や着物を吊るす部屋になってしまっている。終活の一環での行動なのだが、いただいた衣服と同量の衣服を姉に贈ったらどうかとアドバイスするも一向に実行しない。
 小生も終活として、蔵書をメルカリで売却したり、ファイリングサービス(*)で電子化しクラウドに保管している。これで本箱いらずとなった。
 新しく購入する本も極力、Kindle版 (電子書籍)かAudible版を購入することにしている。
Audible(*)の方は、サブスクで12万以上の本が読めるので、かえって安上がりだし、眼の衰えた自分には願ってもない方法だ。
 新聞や雑誌が駅の売店の主役から退場して久しいが、雑誌はもっぱらdマガジンで読んでいる。こちらもサブスクだが、あまりにも多くの雑誌が読み放題なのがうれしい。色々な週刊誌を流し読みしているが、数多くの雑誌を読むことで、SNS等を介して得る情報のような視点の片寄も回避できるメリットもある。
 整理整頓術の本やYouTube映像も人気のようだ。整理とは人員整理の用語でもわかるように捨てること、整頓とは使ったら元あった場所に戻すことだと昔ある本で読んだ事がある。
 せっかく終活で物の整理をしているのに、今日もアマゾンから荷物が届いた。執着心を無くすのは凡人には難しいようだ。

*電子化ドットコム(書籍スキャンサービス) //www.densika.com/
*Audible //www.audible.co.jp/
*dマガジン //dmagazine.docomo.ne.jp/

(ジャーナリスト 井上勝彦)2023-03

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