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水仙の花に注意

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1101-4 冷たい北風に吹かれながらも凛とたたずむ姿が美しい水仙の花。スラリとした緑の葉にラッパのように飛び出た黄色い花、そしてその回りを囲む白い花弁はそれぞれの色の華やかさが灰色の雲に覆われがちなこの季節にひときわ目を引きつけます。この花に見とれてしまう人も多いはずです。
だからでしょうか。水仙の花には面白い逸話があります。
昔々、人間と神が共存していたとされるギリシャ神話の時代の頃。ナルキッソスという名前の少年がいました。彼はとても美しい顔立ちをしていました。ある日、水面に映った自分の顔を見て「なんてきれいな人なのだろう」と、恋をしてしまったのです。それが自分自身であることに全く気付かずに、毎日毎日水面を見て声をかけました。けれど答えてくれるわけがありません。一方的な片想いに苦しんだナルキッソス。水面に映った美少年を問いつめようと深くのぞくと、足を滑らせて水のなかに落ちてしまいました。そして死んでしまったのです。その後、水辺には水仙の花が咲き、うつむき加減に垂れた花弁から人々はこの花がナルキッソスの生まれ変わりだと言いました。ついには
自分に見とれてしまったナルキッソスにちなんでナルシストという言葉ができたのです。
美しすぎる水仙の花だからこそ、こんな逸話が生まれるのでしょう。花言葉は、うぬぼれ、自己愛、エゴイズム。こんな表現が使われるのもギリシャ神話の由縁かもしれません。
立ち止まって水仙の花を見る時は、魅了されすぎないよう注意したほうがいいですね。
(コラムニスト 華山 姜純/絵:そねたあゆみ)2011-01

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