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寒造り(かんづくり)

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0701_1 小寒(1月6日頃)から立春(2月4日頃)の期間に日本酒を造る事を「寒造り(かんづくり」といいます。

江戸時代頃までは通年に渡り酒を造る四季醸造(しきじょうぞう)が行われていましたが、江戸幕府がその時々の食糧事情や政情等により不安定な酒造統制を行い、米不足になると寒造り以外を禁じたり、逆に米が供給過剰となると四季醸造を解禁する、などを繰り返す内多くの蔵元が安定して認可される寒造り以外をやめ、次第に主流となって今日に至るという経緯があるようです。

しかし酒造りに関る杜氏を始めとする職人達にとって厳寒の中での作業は辛く厳しいものである事が想像に難くありませんし、麹菌という生物を使って行う醗酵も低温中での進行速度は遅い、と一見負の要素が多いように感じられますが、古来より総じて寒造りは良い酒ができるといわれ、品質の点からも寒中以外の酒造りはあまり省みられなくなりました。

酒造りには米と水が必要不可欠ですが、中でも日本酒の成分の約80パーセントを占める水は出来上がりの品質を左右する大きな要素となり、良い水を確保する事が良い酒造りの基本であるといえます。酒蔵が川の近くに多いのも、酒造用水として川の伏流水を汲み上げて用いている事によるものと考えられます。

江戸時代より高品質な酒を産出してきた兵庫県南西部の灘(なだ)では海岸沿いに酒蔵が立ち並び、六甲山地に降った雨が花崗岩質の地層をくぐり抜ける間にミネラル分を多く含んで湧き出した宮水(みやみず)と呼ばれる硬水を用いて酒造りを行ってきました。

水に含まれるミネラル分は酵母の発酵に関与し、ミネラル分が多い硬水を用ると酵母が活発に働き発酵を促進して風味の濃い酒が出来、逆に軟水を用ると発酵は緩やかに進行して風味の穏やかな酒が出来ると一般に言われています。

これまで酒造りには硬水を用いるのが主流でしたが、近年では軟水で醸した酒の味わいが現代人の味覚に合うと軟水醸造も見直される傾向にあるそうです。

政情や消費者の嗜好など時代の流れに伴って静かに変化をとげてきた酒造りの歴史。暦の上では春とはいいながらもまだまだ寒さ厳しい立春過ぎ頃に出回る新酒が新しい季節の訪れと共に楽しみでなりません。

(文:コラムニスト 現庵/絵:吉田たつちか)2007.1

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