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英雄と富士山は遠くで見る物

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2010-02-5 かつて、司馬遼太郎さんは、「歴史上で一番仕えてみたい人物は誰?」と問われ、迷わず「織田信長」と答えたそうですが、司馬さんに限らず、歴史上の人物・人気ランキングでは、信長は今でも、「坂本龍馬」と並んで、もっとも人気がある人物だそうです。
福岡市博物館に、国宝「圧切」(へしきり)という刀があります。あの、織田信長の愛刀で豊臣秀吉の名参謀として知られる黒田如水が拝領し、以来、代々、福岡藩黒田家に伝わってきた名刀です。この刀が、なぜ、圧切というかと言えば、信長がまだ弱年の頃仕えていた茶坊主が、あるとき、カチンと来ることをしでかしたようで、すると信長公、たちまち、ぶち切れて、すぐに抜き身の刀を振り回して、城中、その茶坊主を追いかけ回したそうです。茶坊主も斬られたらかなわないから「ひえ~」とばかり逃げまわり、ついには台所に逃げ込み、そのまま、膳棚の下に隠れて中からしっかりと戸を閉めてしまったとか。
「ここを開けろ!」と言われたところで、茶坊主も必死だから絶対に開けない。しばらく、「出て来ぬか!」「お許しを!」の問答があった後信長公、ますます怒り狂って、ついに、膳棚の真ん中付近にある隙間に刀を差し込んで、そのまま、「えいや!」とばかり上から力を込めるや、何と見事に(?)、膳棚ごと、その茶坊主が真っ二つに切れてしまったそうです。
信長公、この切れ味に大いに喜んだそうで、以来この刀を「圧切」と命名し、愛刀とした・・・って、戦国の英雄・織田信長も実際に生身で付き合った人間は、たまったもんじゃなかったでしょうね。茶坊主も何したか知りませんが、給料もらうのもマジの命がけですよ。
また、信長は、自分自身が、超人的なまでの精力家だったこともあり、他人が休んだりするのが許せなかったみたいで、事実上の覇権が確立した後の安土城時代、朝、突然、「OOまで出かける!」と言って、そのまま、突然、馬を疾走して、出かけちゃったそうです。
家来も大変でしょうが、もっと大変だったのは、「そんな遠いところまで行ったのだから、今日はお泊まりだろう」と思いこんで、息抜きに遊びに行っちゃった侍女たちで、何と、信長公、普通、一泊するところを日帰りで帰ってきてしまったそうで、侍女たちが不在なのを知ると、これまた激怒!
侍女たちは、全員、茶坊主状態・・・つまり、死刑になったそうです。
やはり、英雄と富士山は遠くで見る物・・・のようですネ。
(小説家 池田平太郎/絵:吉田たつちか)

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