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スーパーおばあちゃん

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2008.02-4先日、友人の紹介でニュージーランド人男性が経営する日本風居酒屋に招待してもらった。
本当の日本食が食べられる純和風な居酒屋だが、夜には生のジャズ演奏が始まり、テーブルや椅子などもお洒落な黒と白で統一されており上手い具合に和と洋で調和されている居心地の良い居酒屋だ。
私が食事に行った日は、日本人の客層が少なく、 ニュージーランド人やアイランダーと呼ばれる太平洋の島々出身の人達や、アフリカ人、インド人で賑わっていた。その中に一人でカクテルのグラスを傾ける白髪のおばあちゃんが私の目に留まった。そのおばあちゃんは赤い花柄のワンピースに、少し高いヒールのサンダル、ゴールドの小さいハンドバッグを肩からかけて、小さい肩を揺らしながらジャズのリズムに合わせて楽しそうにしている。
話を聞くとそのおばあちゃんはイギリス出身の85歳だそうだ。小柄で細身のおばあちゃんはお化粧もキッチリ、綺麗な顔立ちは華やかな装いに負けていなかった。そんなおばあちゃんは、 みんなの人気者で、店を訪れる人ひとりひとりがおばあちゃんと面識があり軽く挨拶をかわしている。
そんな中、ジャズのムードがのってきたところで、おばあちゃんは一人のインド人とダンスを始めた。しばらく踊った後相手が代わり今度はアフリカ人の男性とダンスを楽しんでいる。そんな 姿を何十分眺めていただろうか。この瞬間にピッタリ なBGM;ジョンレノンのイマジンの歌詞が脳裏に浮かび、平和な気分に浸っていた。こんな多国籍な居酒屋で色々な人種が入り混じる中、差別や偏見も無く、ただこの時を楽しんでいる。
私は食事をするのも忘れ、この心地良い雰囲気の中で物思いに耽っていた。そんな時、そのおばあちゃんが私に声をかけてきた。「もしよかったら私の隣に座ってくれない?お話でもしましょうよ。」とても品の良い喋り口調がお洒落な外見と比例していた。一緒に飲みながらのんびり話ができれば最高だったが、最終電車の時刻までまもなくだったため、後ろ髪をひかれる思いでその場を後にした。
電車に揺られながらこのバーでの出来事を色々思い出 し、胸の中がなんだか温かくなっていた。どうやら私はすっかり素敵なおばあちゃんの大ファンになってしまったようだ。高齢のお年寄りがいつまでも若い気持ちを持ち続け、精神的にも肉体的にも活力がある様子を見かけると、自分がとても小さな人間のように思える。些細な事でくよくよし、どうでもいいことに腹を立て・・・。この日は自分自身を見つめなおし、反省する良い機会となった。
わが国日本にも沢山の元気なお年寄りが人生を楽しんでいる。みなさんもご存知の通り、日本では60歳で再び生まれ年と同じ干支年になることを祝う還暦の儀礼がある。その際、赤いちゃんちゃんこ等を贈る習わしがあるが、その日を境に赤ちゃんに還るという意味を兼ねて、「生まれ変わった気持ちでますますお元気で。」と願いを込めて赤い品を贈る。 しかし、赤ちゃんに還るという謂れは、よく考えると とんでもない失礼な話だ。私達若者からしたら大先輩にあたる存在である。「若い人から元気をもらって頑張ろう。」とお年寄りがよく口にするのを耳にするが、反対に私達もお年寄りから勇気付けられたり、パワーをもらったりしているはずだ。私はそんな人生の大先輩から少しでも多くの事を学んでいきたいと思う。そして器の大きな人間に成長していきたい。
(ニュージーランド在住、Reeoko/絵:吉田たつちか)
2008.02

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