(絵:吉田たつちか)
もしみなさんが世界旅行に行ったとき、楽しみの一つに各国の食べ物を食べることではないでしょうか? 中にはすごく美味しいものがあったり、日本人には向かないな~という食べ物があったりします。そういったときに『文化の違い』を実感すると思います。
人類が農耕をはじめて1万年。我々は額に汗して農作物や牧畜をしてきました。そして人類は穀物などを主食にすることになります。世界には三大穀物というのがあって
・コメ
・コムギ
・トウモロコシ
が世界の三大穀物でありこれにプラスイモ類が、人類79億人の生命の糧となっています。日本人は世界でもっともおコメ大好き民族といっていいと思います。ただしおコメの一人当たりの消費量は世界14位で55キロ。1位はバングラデシュで170キロ、2位ラオス160キロ、同じく2位カンボジア160キロです。
おコメは日本、朝鮮半島、中国の南部、東南アジアなど、雨の多い温帯で多湿な地域で作られ主食となっています。食べ方は炊く・蒸すや、ベトナムのフォーのように麺にするなどなど。ヨーロッパでもイタリアやスペインといった南欧ではパエリアとかドリア、リゾットとしておコメを食べています。
小麦はどちらかというと雨の少ない地域、ヨーロッパや中央アジア、インドの北部、西アジア、中国北部、北アフリカ、オーストラリア、北米などで広く栽培されています。食べ方は、パンやパスタ、インドなどでは水で練って薄く伸ばして焼いたチャパティ、中国北部はご存じ饅頭などなど。
トウモロコシはメキシコやブラジル、アフリカ大陸の東海岸など。イモ類は南米、ニューギニア、西アフリカなどで栽培され主食となっています。トウモロコシは粉を薄くのばして焼いたトルティーヤや、中に具を入れて巻いたタコスなど。
さらに穀物ではありませんが、イモ類も広く主食として食べられています。南米のアンデスの高地では、ジャガイモを冷凍乾燥させたチュニーニョが主食。南米原産のジャガイモはヨーロッパに伝わり、ドイツやロシアでもよく食べられています。
キャッサバというおイモは、ナイジェリア、ブラジル、インドネシア、タイなど熱帯地方でよく食べられていて、キャッサバのデンプン粉が流行したタピオカになります。
そして太平洋の島々で栽培されているのが、タロイモやヤムイモです。タロイモは里芋に似ている感じ、ヤムイモは長芋の仲間。
これらが、世界の主食として食べられているものです。他にもバナナを主食にしている地域や、栗を主食にしている所もあります。日本でも縄文時代は栗やドングリを主食にしていたとか。
主食の条件としては、収穫量が多く、収穫が安定していること。そして保存がきくこと。飽きがこないこと。そして世界の主食はすべて炭水化物です。
また欧米では主食の概念が薄く、パンやジャガイモはむしろ、なくてはならない副食的存在という人もいます。大切なのはバランスよく食べること。そして楽しく美味しく食べることでしょう。
(食文化研究家:巨椋修(おぐらおさむ))2022-05