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忘れ物しても安心

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(絵:吉田たつちか)

最近、わが町の交番が駅と公民館(宇佐美コミュニティセンター)に近いところから、山側の標高の高いところに移動してしまいました。津波対策の一環ということです。
そのため、落とし物など届けるのが億劫になりました。特に、車を持たない子供やお年寄りにとっては難儀です。小額なお金の入った財布でも、ちゃんと交番に届いているというのが、海外の旅行者に感嘆され、日本の美徳でもあります。子供らにそのような美徳が継承されなくなるのではないかと危惧します。
「鶏は三歩歩けば忘れる」と言われるが、酉年のせいでもないが、最近は、階下に物を取りにいっても、途中別の用をすると、きっと当初の用を忘れる。階段を何度も上り下りするのも運動になっていいかもと前向きにとらえている。
忘れ物といえば、今年、外で2回大きな忘れ物をした。一つは墓参りで金子駅(埼玉県入間市)に下車して、タクシー待ちをした際にカメラを駅の待合室に忘れた。なんと墓参りをして約1時間後に駅に戻ると、待合室にそのまま置かれてあった。
この駅は近くに大学もあり、学生など若い人が大勢乗り降りするのだが、最近の若者はカメラに全く興味がないか不要のようだ。カメラなど肩にぶら下げなくとも、スマホがあれば用が足りるからだ。
もう1回は、沼津駅のホームのベンチで熱海行きの電車を待っていて、携帯を置き忘れたことを、次の三島駅で気付き、沼津駅へとって帰り、改札窓口に問い合わせている最中、駅の掃除をする人がちょうど落とし物を届けに来た。小生のスマホだった。スマホケースには、チャック式のポケットが付いていて、ここにわずかばかりの紙幣とクレジットカード、運転経歴証明書(免許返上カード)を入れていたのだが、全て無事だった。今どきは、スマホがどこにあるか追跡できるそうだが、他人のスマホなど拾っても使い道がないようだ。
落とし物といえば、警察庁は来年3月から全国の“落とし物”に関する情報を一括管理し、同庁のホームページから一発で検索できるシステムを開始することを明らかにした。 これまでは、届け出を受理した都道府県警察ごとに管理されていたので、それぞれの県の警察に確認する必要があった。今後、各都道府県警察の落とし物データベースを一括管理し、警察庁のホームページから全国の落とし物を同時検索できるシステムに移行する。
また、これまでは交番などの窓口に直接行って、届け出を出す必要があったが、今後はオンラインでも可能になるという。来年3月から京都や青森など10の府県から順次開始し、2027年の3月末までに全ての都道府県で移行させる予定。気軽に忘れ物出来るいい時代だ。

(ジャーナリスト 井上勝彦)2022-12

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