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門松と家康

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1201-05 お正月の象徴とも言える門松。玄関先に飾って新年を迎えるのは日本の伝統文化です。まっすぐに伸びる竹と青々とした松下部に添えられた葉牡丹や赤い南天の実を見ると、新しい年が始まったのだと実感し、気持ちが引き締まります。

 門松を飾る意味は、新年が来たことを告げる年神様が天から降りてくる際の依代(よりしろ)、つまりは目印にするためだそうです。古くは平安時代から飾られました。当時の門松には竹は飾らず、松だけを飾りました。松は中国の唐の時代に長寿の木としてあがめられていたので、平安貴族が縁起をかつぎ、松の枝を持ち帰って自らの屋敷の門前に飾りました。だから「門松」と名付けられたのでしょう。竹が加わったのは室町時代に入ってから。 竹も長寿を意味するので、元日にふさわしいと好まれたようです。やがて、子孫繁栄を願う実の沢山なった南天も添えられ、現在の門松へと発展していきました。
 今や門松の中央になくてはならなくなった竹ですが、スパンと斜めに切られた「そぎ」と、節のところで真横に切った「寸胴(ずんどう)」の二種類があります。地方によってどちらが選ばれるのかが異なるようですが、「そぎ」のほうが圧倒的に多いそうです。
 では、なぜスパンと斜めに切られるようになったのでしょうか。これには面白い逸話があります。
 時は戦国時代。一五七三年のこと。現在の静岡県浜松市で大きな戦が起こりました。武田信玄と徳川家康が争った三方ヶ原の戦いです。この戦で家康は大敗しました。大勢の家来を亡くし、命からがら浜松城へ逃げ帰りました。悔しさが込み上げる家康は、竹を武田と見たてて、「次は必ず信玄を斬るぞ」と竹をスパンと斜めにそぎ落としました。そしてその竹を飾り戒めとしました。これが「そぎ」の始まりと言われているのです。
 白い息を吐きながら初詣に出掛ける途中、いくつもの門松に出会います。竹の形が斜めに切られた「そぎ」であったら、家康の逸話を思い出してください。そして、それを自分の戒めに置きかえて、「昨年上手くいかなかったことを今年は絶対に成し遂げてやるぞ」と、新年の誓いを立ててみてはいかがでしょうか。
(コラムニスト 華山 姜純/絵:吉田あゆみ)2012-01

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