この時期の天気予報でよく耳にすることばに「太平洋高気圧」というのがあります。太平洋の方からやってくる、気圧の高い部分のかたまりのことで、おかしな表現ですが地形にたとえると、高い山が動いて、ぐんぐんこちらに迫ってくる、という感じです。
ついでに説明しますと、「高気圧」というのは、例えば「気圧○○hPa以上」とか、決まりがあるわけではありません。さきほどのたとえのように山と同じで、周りより気圧の高い部分のことを言うものです。
だから極端に言えば、一枚の天気図の中で高気圧の中心気圧よりも中心気圧の高い低気圧がある可能性もあるわけです。さらに、高気圧は気圧が高いだけで、気温が高いわけではありません。(むしろ逆と言っていいほどです)今回お話する太平洋高気圧は暑さをもたらすものですが、冬のシベリア高気圧は寒さをもたらしますので、誤解のないように!
話を元に戻します。空気というのは、クーラーが足元から冷えてくることからもわかるように、冷たいものほど重い、つまり、気圧が高いのです。だから冬の高気圧は、冷たい空気が地表付近に集まって気圧が高くなったもので、何の不思議もありません。そう考えると、熱い=軽い空気のかたまりである太平洋高気圧の気圧が高いのは、おかしいと思いませんか?(おかしいんです!)
これは、上空の、高度12~17km付近に冷たい空気があるからなのです。なので、太平洋高気圧は身長約15kmくらいつまり「背の高い高気圧」なのです。(シベリア高気圧などは「背の低い高気圧」と呼ばれます)
最近環境問題に配慮して、クールビズが叫ばれていますが、就寝中に熱中症で死亡することもあります。クールビズには賛成ですが、それもほどほどにして、無事に楽しく夏を乗り切りましょう!
(文:気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)2006-08