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日本独特? ネバネバぬるぬる食品

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(絵:そねたあゆみ)

●日本はネバネバぬるぬる食品が豊富
 海外暮らしが長い人がときどきいうのが「ネバネバした食べ物を白いご飯の上に乗せて食べたい」
 そう、海外にはあまり、あるいはほとんどネバネバぬるぬるした食べ物がありません。
 日本はどうか……
 納豆、山イモ、長イモ、里イモ、オクラ、メカブ、 モズクととてもたくさんの種類があります。そしてそのどれもがとても健康にいい、さらに精力がつくとされる食べ物たちなのです。

●なぜ日本にはネバネバぬるぬる食品が多いのか?
 なぜ日本にはネバネバぬるぬる食品がこんなにも多いのか? 一つは長い日本食文化の伝統によって、ネバネバぬるぬるの食品に抵抗が無くなっていること。
 海外の人は、あのネバネバぬるぬるした感じが「気持ち悪い」と感じるようなのです。
 納豆は、ネバネバぬるぬるの上に独特の匂いがあります。昔西日本の人は納豆の匂いが嫌で納豆を食べませんでしたが、他のネバネバぬるぬる食品である山芋も里芋もオクラ、メカブ、モズクも喜んで食べます。
 つまり西日本の人はネバネバぬるぬるが嫌で納豆を食べないわけではなく、食文化として納豆を食べる習慣がなかっただけなのです。
 ちなみに西日本に納豆を食べる習慣が根付かなかったのは、西日本を代表する都市である商都大阪では、朝ご飯を炊く習慣がなく、夜に炊いたのです。
 納豆は、かき回してサッとあったかご飯と食べるのがおいしいので、朝に一日分のご飯を炊く習慣の江戸では納豆をおいしく食べることができましたが、大阪の朝ごはんは昨夜に炊いた冷えご飯なので、朝ごはんのおともとしては合わないのです。
 ゆえに大阪をはじめ西日本に納豆が広まらなかったと言われています。
 と……、いうことは……
 そう、日本にネバネバぬるぬる食品があったかご飯に合うから! で、ありましょう。山芋類もあったかごはんにサッと載せてツルツルといただく。これがパンだったらちょっとそうはいきませんものねえ。

●ネバネバ食品は本当に身体にいいのか?
 体にいいイメージがあるネバネバぬるぬる食品ですが、こネバネバの正体は「ムチン」という成分です。このムチンは熱に弱いのです。ネバネバぬるぬる食品は、生やすりおろして食べるものが多いのですが、それには意味があったのですね。
 納豆には「ナットウキナーゼ」という酵素が入っていて、これは血液をサラサラにする効果があるのですが、このナットウキナーゼも熱に弱く、50度の熱で壊れだしてしまうのです。ですから、アツアツご飯に乗せて食べるとナットウキナーゼが死んでしまうことも……、しかし前述したように納豆はアツアツご飯と合うので、あまり混ぜないようにするとか、ご飯にのせないなど工夫とするといいかもしれません。
 そして、なるべくネバネバぬるぬる食品は生やすりおろして食べましょう。
 さて、ネバネバぬるぬる食品の効果としては、ムチンには疲労回復があります。また、胃の粘膜や鼻の粘膜の働きを高める効果がありますので、胃炎や胃潰瘍、花粉症の予防が期待できます。
 また免疫力が強くする力もありますので、万病予防の効果が期待できるわけです。ネバネバぬるぬる食品には勢力がつくイメージがありますが、実際に精液に含まれるカウパー腺液のネバネバぬるぬる成分はムチンでできています。
 カウパー腺液は精子を守る働きがあるため、ネバネバぬるぬる食品を食べることで受精を助けるといえるでしょう。ムチンは男性ホルモンを活発にする効果があるといわれています。
 またネバネバぬるぬる食品には、DHEAという若返りのホルモンが豊富に含まれているので精力がつく食べ物といっていいでしょう。
 そして勢力がつく食べ物ということは老若男女関係なく、健康にいい食べ物ともいえますね。

(文:食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ))2018-04

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