(絵:そねたあゆみ)
がんの増加と同様、子供を授かれない夫婦が増加しているのは、我が国にとって深刻な問題です。
現在の私達の生活からは想像できないかもしれませんが、飢餓は現在に至っても続いており、日本やアメリカ、ヨーロッパなどの一部の地域を除いて、世界の大半の国々は未だに飢餓の危機にさらされています。
ところが、飢餓状態にある国では出生率が高く、飽食状態にある国では人口がどんどんと減り続けています。私達の体には、餓えや寒さ、感染症の時に生命を存続させる”生命力遺伝子”なるものが長い歴史の中で培われており、①飢餓に打ち勝つ・・・飢餓遺伝子②飢餓状態に生き残る・・・延命遺伝子③飢餓状態の時に出生率を高める・・・繁殖遺伝子④感染に打ち勝つ・・・免疫遺伝子⑤がんと戦う・・・抗がん遺伝子⑥老化や病気を治す・・・修復遺伝子、など数え切れないほどの遺伝子が、体に備わっています。
ところが、長い間の人類の歴史の中で、飽食の状態はほとんど無く、飽食による病に打ち勝つ遺伝子は備わっていません。 糖尿病や痛風、がんなどの病気、そして妊娠しにくい状況も、飽食との関わりが非常に大きいようです。
それでは、今の日本で暮らしながら、妊娠しやすい体にしてゆくにはどうしたらよいか?それは、卵巣に十分な血液を送り、卵巣機能を高めてあげることに尽きます。
飽食の時代にありながら、足りていない栄養素、そして卵巣の血流を減らしてしまう習慣に次のようなことが上げられます。
①摂りすぎている食べ物・・・ジュースやスイーツなどの白砂糖食品の多食と油脂の摂りすぎで、お腹が膨れてしまい、妊娠にとって必要な良質なタンパク質や鉄分が不足
②慢性的なフェリチン(貯蔵鉄)不足
③過食による解毒器官への血流集中で、卵巣に行く血流量が低下
④寝ている間に卵子が育つのに、慢性的に睡眠時間が減少している
⑤女性も働く時代になり、日々精神ストレスを抱え、スムーズにホルモンが働かない(悩みは最も血液を消耗する)
⑥運動の不足、筋肉量の低下、薄着ファッション、シャワー生活等で、体の深部が冷えている
⑦添加物、薬剤等による、環境ホルモン、異種ホルモン、ステロイドホルモンの増加によるホルモン系の乱れ
⑧スマホやPC機器の普及による目のストレス・・・肝血不足⑨不妊治療による焦りとストレス、等々、日本人が絶滅危惧人種とならないために、子宝養生につとめましょう。
(薬剤師、薬食同源アドバイザー 高田理恵)2018-05