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料理店の隠語アレコレ

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(絵:吉田たつちか)

●寿司屋で最初に出るお茶を「あがり」というのは間違い?

私たちがお寿司屋さんに行くと、まずお茶が出てきますよね。このお茶、寿司屋の隠語でなんというかご存じでしょうか? 「あがり」とお答えなる人も多いことでしょう。でもこれ、お客さんの勘違いから「寿司屋のお茶」=「あがり」といわれるようになったんです。
来店したお客に最初に出すお茶は寿司屋の隠語で「出花」といわれていました。出花とはお湯を継いだばかりのお茶のことで、もともと花柳界の言葉でお客に最初に出すお茶。これが料理の用語にも使われるようになったのです。
そしてお客が料理を食べ終わってそろそろ帰ろうかなというときに出すお茶を「あがり」と言いました。いわゆる「一丁上がり」の上りですね。
お寿司屋さんというのは他の料理屋と違い、カウンターで調理をするため、寿司職人さん同士の会話がお客にも聞こえます。お客が食べ終わったなと思った職人さんが若手に「あのお客さんにあがり出して」などという言葉も聞こえるわけで、それを聞いたお客が「ああ、寿司屋ではお茶のことを『あがり』というのだな」と、広まっていったといわれています。
ただ、今の時代「あがり」という言葉は一般化ていますから、間違いというわけではないようです。

●一般にも広まった隠語たち

他にも寿司屋や料理屋から広まった隠語はたくさんあります。
・げぞ→イカの足から下足(下駄や草履)を連想し、げそと呼ばれるようになりました
・しゃり→酢飯のこと。僧侶がお米のことをお釈迦さまの骨を「舎利」と呼んでいたことから。細かく砕いた骨は米に似ているからだといいます
・おあいそ→会計のこと。本来はお店の人が「愛想がなくてすみませんが、お会計を…」という意味で使われていたのがやがて一般化しました
などなど。さらにお寿司屋さんや料理屋さんがお客にあまり知られたくない隠語もあります。

●お店が知られたくない隠語たち
・アニキ→古い食材のこと。「逆」に弟は新しい食材
・2番→「トイレに行ってきます」との意味。ほかにも「3番」「18番」「2の字」「事務所」などという場合もあります
・ジー→GOKIBURI(ゴキブリ)のこと。しかしジーは一般人も使うので「ハナコさん」「タロウくん」などと呼んだりもします
・アイドル→ヒマなこと、もしくは休憩時間。芸能界のアイドル「idol」ではなく、ヒマという意味の「idle」が語源だそうです

●食べ物にまつわる隠語たち
料理店の隠語ではありませんが、食べ物にまつわる隠語というのもたくさんあります。江戸時代以前は肉食を禁止されていました。それで…
・さくら→馬肉のこと。肉の色が桜色をしていたため
・もみじ→鹿肉のこと。花札の紅葉に鹿の絵が描かれているため
・ぼたん→猪肉のこと。猪肉が濃い紅色であるため。ただし江戸時代では「ぼたん」よりも山くじら」と呼ばれることが多かったとか
などなど、肉食がタブーだった時代は、植物名を隠語として使っていたんですね。
隠語というのは他人に知られたくない(例えばトイレに行く)ことを隠すためや、テキパキと仕事をするため、あるいはシャレや業界用語として生み出されてきたもの。
みなさんの業界やお仲間同士でも、何らかの隠語があるのかも知れませんね。
(食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ))

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