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6月の夜空 おとめ座

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15-06-26月の南の夜空には、おとめ座が見られます。
おとめ座は全天の中で、うみへび座の次に広い範囲を占める、大きな星座です。
目印となるのは、全天で21個しかない1等星のうちの1つである明るい星、スピカです。
おとめ座の由来には2つのお話があります。

まずは1つ目のお話。

神話の時代、豊穣の女神デーメーテールの娘であるペルセポネーは、妖精と一緒に花を摘んでいるところを、冥界の神ハーデスに捕えられ、無理やり妻にされてしまいました。そのことを知った豊穣の女神デーメーテールは激怒しました。その怒りを恐れた大神ゼウスは、ハーデスに、ペルセポネーを神々の国に帰すように命令をします。ペルセポネーは無事に神々の国に戻ることができましたが、ハーデスに捕えられていたあいだに、冥界のザクロの実をすでに口にしてしまっていたため、神々の国には1年のうちの8か月しか過ごせず、残りの4か月は冥界で暮らさなくてはならなくなっていました。このようにして、おとめ座は1年のうち4か月は夜空に見られなくなり、その時期は穀物の育たない冬の期間に当たるようになったと言われています。おとめ座の象徴でもある明るい星「スピカ」とは、ラテン語で「穀物」を意味します。

もう1つのお話は、神々と人間とが仲良く一緒に暮らしていたころのお話です。

神々は、あとから現れた人間たちが、争いばかりを起こすので神々はあきれ果て、1人また1人と天上に帰って行ってしまいました。正義と天文の女神アストライアーが、最後まで地上に残り、人間たちに正義の尊さを伝えようとしていましたが、人間たちは女神の言うことには耳を貸さず相変わらず争いに明け暮れてばかりいました。彼女は人間たちに失望し、天に昇っておとめ座となりました。彼女は星となってからも手にはてんびん(てんびん座)を持ち、人々に正義の尊さを伝えようと、地上の愚かな人間たちに訴えかけ続けているのです。

どちらのお話も神話らしい魅力的な物語です。「穀物」という名を持つ「スピカ」を愛でてもいいですし、おとめ座の近くにあるてんびん座を一緒に見ることで、正義の尊さについて考え直してみるのも一興かもしれませんね。

(コラムニスト チャーリー/絵:そねたあゆみ)2015-06

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