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牝鶏朝する時

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(文:小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ)2016-12
 「牝鶏朝する時はその里必滅と言えり」という言葉があります。朝一番に夜明けを告げる一番鶏はなぜかすべてオスなのだそうで、つまり、「めんどりが鳴いて朝を知らせる時」は、本来、花の狂い咲きと同じで、有り得ないことが起こるということで、不吉の兆しであり引いては「その里は必ず滅ぶ」という意味で、転じて、「女性が政治に口出しするときは国は必ず乱れる」と。これは、元々は古代中国の歴史家・司馬遷が編纂した「史記」に載っている言葉(諸説あるようですが)だそうで、日本では源平合戦の原因となった「保元物語」の一節でよく知られているようです。  もっとも、女性の社会進出を推進している現代にあっては、これを口にするだけで「あなたたち男性のそういう態度が・・・」と非国民扱いで激しく叱責されるんでしょうが、でも、これの本当の意味は「女性は愚かだから社会進出はするな」ということではなく、「正当な手続きで選出された」のではなく、「権力者の妻」などいう曖昧な存在理由で口を挟むのが良くないということです。その意味では、賛否はあったにせよ前者の代表がサッチャー英元首相であり、後者の代表が江青やエレナ・チャウシェスクなどでしょうか。(元々、この言葉が出来たときには女性が正当な手段で政権につくシステム自体がなく、政治を志したいと思えば、皇后や皇太后という立場を利用するしかなかったわけで。この点で、現代のように正当な手続きで選出された場合はたとえアメリカ大統領でも何の問題もないわけで、もし、あったとしたら、それは女性だからではなく、その人個人の問題でしょう。)  この点で、先日、アメリカの赤狩り時代のハリウッドを描いた映画「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」という物を見ましたが、劇中、反共俳優で俳優組合長でもあったジョン・ウェインの傍らで権勢を振るうヘッダ・ホッパーという女性が出てきました。  確かに、この人を見ていると男だけのときに比べ一段と罪深さが増すな・・・とは感じましたね。元女優とは言え、ずっと端役で来た人で、50歳過ぎてゴシップ・コラムニストに転身し、ようやく脚光を浴びた人だけに、過去の不遇の時代を取り戻すかのように、この時とばかり、権勢を振るいたがったのでしょうが、この辺はまさにエレナを見ているような気がしました。まあ、その意味では、この言葉は必ずしも間違ってないのかなと。同時に、「アメリカの赤狩り」でと「中国の文化大革命」というものは東西、それぞれの陣営で起こるべくして起こった時代の徒花だったのかと。被害を被った方は堪ったものではなかったでしょうが。

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