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混合蒔きのススメ

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(絵:吉田たつちか)

 免許を返上したので、これまで中伊豆体験農園に借りていた農園に通うことができないため解約して早、5年が経過した。永年お世話になった同農園のHP作りにボランテアとして参画して、おかげさまで、今でも、農園管理組合のメンバーと交流をさせていただいている。 車が無くなったので、駐車エリアだったところに、廃材等で囲い、土を入れて、小さな家庭菜園を作った。数年間は、キュウリやトマト、ナスなど定番の夏野菜を作ってはみたが、中伊豆体験農園のようには上手くいかない。残念ながら、近所の無人販売所で購入したほうが、安上がりだし、おいしい。
 先日、YouTube 動画で、混合種蒔きの方法を知った。種まき用土に、色々な種入をれ、混ぜてから、ばら蒔くのだ。秋にレタス類を中心に6種類ほどの種を混ぜて、蒔いたのが、春先に次々に発芽し、生育した。毎日、抜いても、抜いた以上に葉が茂る。老夫婦では食べきれないほど採れた。春になり、今度は、春蒔き花の種を10 種類ほど蒔いた。現在、ヒマワリが真っ先に伸び、その下からコスモスの小さな花が顔を覗かせている。日陰を作らないように、ヒマワリは花が咲き始めたら順次切り花にする予定だ。次に伸びようとしているのが百日草だがまだ蕾はもっていない。種は蒔かなかったが、ハコベも繁茂して小さな白い花をつけている。
 侍従らが皇居周辺の草刈りをし、昭和天皇がお帰りになった際に、一部雑草を刈り残したことをお詫びしたところ、陛下が牧野富太郎(植物学者)の言葉を引用して「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決めつけてしまうのはいけない。注意するように。」とおっしゃったというエピソードがある。
 街に降りる農道の両側の畑は、耕作者の高齢化で、放置畑と化している。数年前までは、外来植物であるセイタカアワダチソウが我が世の春を謳歌して威張っていたが、いつの間にか、色々な植物が盛り返し、むしろ隅っこで静かにしている。
 販売のための野菜栽培や花作りでは、収穫するのに便利なために同じ植物を一定エリアに栽培するのはやむをを得ないが、家庭菜園や家庭園芸では、混合種蒔きでいろいろな植物がまじりあって生きる方が自然に近い気がする。しばらくは、我が家の園芸手法はこれでいく予定だ。もちろん、雑草取りも極力しない、省力園芸でもある。 

(ジャーナリスト 井上勝彦)2023-06

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