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年賀状文化の盛衰

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(絵:吉田たつちか)

年賀状を書かなくなっって約20年。返事も書かないので、当たり前だが、年々来る賀状の数が減っている。でも、多少の期待を込めて年明けにポストを覗く自分がある。
 10数枚の年賀状の半分は、政治家、そしてもう半分は今はほとんど接点がないのに、古い住所録から自動的に印字発送されたに違いない会社関係の儀礼的なものだ。
 昨年来、世情を騒がせている政治家のパーテーィ券にかかわる裏金問題。年賀状を印刷して、律儀に発送する費用にも使われているのかなとは思う。
 年賀状を書かない小生ではあるがネット書店(TEBRA書店)のメール登録ユーザーには、メルマガにて約1万通以上、元旦に賀状を発信した。
 ネットでチョイスした年賀状デザインサンプルに多少手を加えて作り、ネットショップが提供しているメルマガ発信システムを使ったので、新たに発生した費用はゼロ円だ。
 これを郵便はがきで賀状を出そうとすると63円×1万枚=63万円もかかることになる。1万枚ともなると手書きでは無理なので、印刷することになるから印刷代も加算される。
 数年前、飲み友達から息子が郵便局に勤めていて、毎年、強制的に買わされた年賀状が数千枚押入れにしまってあるが、どうしたものかと相談を受けたので、メルカリに出してあげた。定価の1割5分引きで出品したところ、その日のうちに売れ、お礼に、飲食接待を受けた。買った人は、この年賀はがき(年度も古いものもあった)をどのように使うのか、いまだに疑問だ。
 飲み屋で会った若い人に聞くと、今年、年賀状を出したという人は一人もいなかった。日本郵便はいつまで、時代遅れの年賀状を作り続けるのだろうか?そういえば、今年の正月は凧あげも羽付きも見なかった。年賀状を含め、日本の正月文化が徐々に廃れていくのには一抹の寂しさがある。  

(ジャーナリスト 井上勝彦)2024-02

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