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老人を標的にする詐欺集団

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(絵:吉田たつちか)

 市役所からのお知らせが、スピーカー(公園や浜辺、広場などに設置された拡声装置)から発せられている。その内容は、津波情報など緊急を要するものから、尋ね人(特に、最近は、痴ほう老人のお尋ね情報が多い)などが、随時流される。同情報は地元のローカルテレビからも同時発信されている。
 最近、頻繁に流されているのが詐欺に遭わないようにとの注意メッセージだ。従来のオレオレ詐欺に加え、投資詐欺の注意が増えている。
 オレオレ詐欺についていえば、お年寄りがどうして自宅に大量の現金を置いているのだろうかという素朴な疑問だ。低金利が続いているので、タンス預金が増えているとか、定期的に振り込まれる年金を使い切れずに貯まる一方だとか、酒席の話題になる。
 余命いくばくもないのに、早く使わないと、間に合わないと、余計な心配をするが、詐欺にあった人に同情する人は意外に少ない。いな、「自分は宵越しの銭は持たない主義だから詐欺に合う心配はない」とうそぶく。
 小生も同類で、詐欺なんて遭うはずがないと思っていたところ、最近、立て続きに遭った。一つは、新聞や雑誌でも話題になっているfacebookでの投資話詐欺だ。いわゆる有名経営者をかたった、確実にもうかる仕組みができたとの投資詐欺だ。人物画像も当該HPも巧妙に作られている。とりあえず3万円を振り込んだら、追加投資の電話が鳴る。あきらかに外国人なまりの日本語でスマホの電話が真夜中まで続く。ここで、明らかに詐欺だと気付いたので、電話には一切応答しなかったら約3ケ月後にやっと電話は止んだ。3万円の損だったが、安易に電話応対すると相手の甘いうまい話にあがらえなかったろう。
 次に遭ったのは、フィッシング詐欺だ。小生はネットで自動車修理専門店(TEBRA書店)を20年前から開いている。今年に入り、普通はそれほど売れない高額書籍(年鑑や車体寸法図など)の注文が頻繁に入るようになった。一部、外国人名の注文もある。決済はいずれもクレジットカードだ。あやしいなと思いながらも、住所をネットで確認すると当該住居(マンションやアパート)は確かにあるので、発送した。ところが、利用している決済会社から、当該クレジットカードの持ち主から不正使用の申し出があったため、クレジットカードの金額は支払いできませんとの連絡が入った。(不正利用があるとカード会社が取引を取り消し、代金をカード名義人に返す「チャージバック」を行う。不正利用の被害額は2023年に過去最大の約541億円に達した。)2、3ケ月後のことだったので、気が付いた時には総額で20万円ほどやられた。小生から詐取したと思われる書籍が3分の一以下の価格設定で、メルカリに出品されていた。出品したのは別の人のようだが、メルカリに対処を依頼しても、解決に至らない。
 詐欺にはけっして遭わないと思っている人ほど詐欺に遭うようだ。AI時代になってネットを利用した新たな手口の詐欺も続々登場しているようで、やはり、宵越しの金を持たないのが一番の防止法かもしれない。
     

(ジャーナリスト 井上勝彦)2024-05

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