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裸文化と日本人

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15-07-5 キリストの頃まで1億人だったと言われる世界人口も今や70億人。本来、多産でないはずの人類がこれほどまでに繁殖できた理由の一つに「繁殖期を無くしたこと」があるとか。で、以前、ある人から、「女性が体を服で隠すから、見たい人が出るんだ」と言われ、私は内心、「それはちょっとこじつけだろう」と苦笑したことがあるのですが、最近、少し思ったことがあります。
江戸時代の日本の銭湯が混浴だったというのは割りとよく知られている話ですよね。現代人、特に女性の感覚からすれば、とても信じられないような話ではないかと思いますが、でも、一般の日本人女性が人前で体を隠すようになったのは明治後期以降、自国民の蛮風を恥じた明治政府が「裸は恥ずかしい」と啓蒙(?)したからで、事実、明治17年に来日したある外国人女性は夏の海辺の信じられない光景を日記に記しています。
曰く、「果物売りの小さな女が商売を終えた後、そのまま、海に入り汗を流して砂浜で体を拭いていたところ、一人の男が現れた。彼女は平然と体を拭き続けていたが、男が顔見知りだったらしく、やがて微笑んで裸のままで挨拶を交わし始めた」と。また、ある外国人男性は温泉に浸かっていたところ、知り合いの日本人から声をかけられ、湯の中で妻子を一人一人、普通に紹介されたとか。
つまり、当時の日本人には「肉体」という人間の自然な姿に「恥」とか「罪」とかいうものを感じなければならない道理が理解できなかったということですね。まさしく、「楽園を追われる前のアダムとイヴたち」だったのでしょう。ただ、それは主要都市が少なからず日本より緯度的に北にある所が多い西洋人はそもそも保温のために衣服を身につけることが前提であって、高温多湿の日本は本来、「裸文化」なんですよ。
まあ、確かに、今の日本人がすべて普通に裸で街を歩いていたら、おそらく、私も含め、最初は幕末の欧米人よろしく、「オーマイガッ!」となるのでしょうが、でも、たぶん、人間の発情というのはそれほど長い時間、持続出来るものではないように思うんですね。つまり、慣れてくる・・・と。結果、やがて、普通に何事も無く、すれ違うようになる・・・と。ちなみに、別のある外国人は、「日本人の尺度によると、単に健康や清潔のためとか、仕事をするのに便利だからということで体を露出するのは、まったく礼儀にそむかないし許されることだが、どんなにちょっぴりであろうと見せつけるために体を露出するのは、まったくもって不謹慎なのである」と書き残していますが、一方で、江戸時代の混浴銭湯も一切、そういう問題が起こらなかったかというとそんなこともなく、幕府は風紀が乱れるという理由でたびたび禁止のお触れを出しております。  (小説家 池田平太郎/絵:そねたあゆみ)2015-07

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